2005年07月26日(火) 17時31分
リフォーム:代金「返還を」 認知症の80代女性、1業者応じず地裁に提訴 /愛媛(毎日新聞)
複数のリフォーム業者による訪問販売で、自宅の床下や天井裏に不要な工事をするなどの契約を結ばされたとして、松前町に住む認知症の80代の女性が福岡市内の2業者など計4業者を相手に、既に支払った代金と商品の撤去代金など計約550万円の支払いを求める訴訟を松山地裁に起こしていたことが25日、分かった。うち3業者に対しては契約解除に応じるなどしたため提訴を取り下げたが、1業者は争う姿勢を崩さず、訴訟が継続している。【津久井達】
◇月8万円の年金生活で複数業者と契約
訴状などによると、女性は92年から一人暮らしで、そのころから物忘れなどの認知症の症状が出始めた。03年秋、県内に住む長女(51)の元に「金がないから貸して」と電話があり、不審に思った長女が女性宅を調べると契約書の束が見つかった。調べると、床下や天井裏で換気扇や耐震補強用の金具を複数発見。他にも、健康食品や浄水器などを契約していた。女性は月に約8万円の年金で生活。発覚時には貯金は底をつき、三つの生命保険がすべて解約されていた。業者への支払いに使っていたとみられる。長女の依頼した専門家は「特に地震や湿気に弱い家ではなく、不要な工事が行われている」としている。
長女は県生活センター(松山市)に相談。センターの仲介で、2業者が計約70万円分の契約解除に応じたが、他の業者とは交渉がまとまらず提訴に踏み切った。
4業者のうち、害虫予防ネットや床下換気扇を設置した福岡市の業者など2業者は契約解除などに応じたため、訴えを取り下げた。1業者については訴訟を断念。最も高額の約200万円分の契約を結んでいた別の福岡市内の業者は答弁書で「契約当時、原告の判断能力は正常だった」などと主張、現在も争う姿勢。長女は「年金生活の老人相手に高額な契約をさせるなんて許せない。判断能力がなかったことはわかったはず」と憤りを隠さない。この業者は「裁判が始まっているので、内容についてはコメントできない」と話している。
7月26日朝刊
(毎日新聞) - 7月26日17時31分更新
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