2005年07月20日(水) 02時47分
消費者金融 取引履歴開示の義務 最高裁初判断「拒めば不法行為」(産経新聞)
法定金利を超えた貸し付けをめぐる債務整理の過程で、消費者金融会社が「取引履歴」を借り手側に開示する義務があるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は十九日、「貸金業者には開示義務があり、拒めば不法行為による損害賠償が認められなければならない」との初判断を示した。借り手側の慰謝料請求を棄却した二審大阪高裁判決は破棄され、審理は大阪高裁に差し戻される。
取引履歴は、借り手側が債務整理をする際に、残高や、過払い金の返還請求額を算定する根拠となる。しかし、大手貸金業を含めて、開示を拒否したり履歴の期間を限った開示しかしない業者が多く、借り手側が不本意な和解を強いられるなどしていた。
各地で同様の訴訟が起こされているが、業者側の開示義務に関する一・二審の判断は分かれていた。最高裁判決について原告弁護側は「全国の多重債務者の救済に大きな前進となる」と評価している。
判決理由で浜田邦夫裁判長は「貸金業法が、業者に履歴の作成・備え付け義務を課しているのは、借り手とのトラブルの発生の防止や解決を目的にしている」と指摘。その上で、「借り手が債務内容を正確に把握できない場合には、弁済計画を立てることが困難になったり、過払い金の請求ができなくなるなどの大きな不利益を被る可能性がある」として、業者側には保存している取引履歴の開示義務があるとした。
この訴訟は大阪市の金融会社「キャスコ」に借金をした女性が、利息制限法を超えた分まで返済したと主張し、キャスコ側に過払い金と、取引履歴を開示しなかったことに対する慰謝料計約百六十万円を支払うよう求めた。一審大阪地裁判決は過払い金約百三十万円の返還を命じたが、慰謝料の請求は棄却。女性は慰謝料分について控訴したが大阪高裁は「業者に開示義務はない」と一審判決を支持した。
(産経新聞) - 7月20日2時47分更新
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