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個人年金保険は、生命保険会社の商品。保険料を積み立て、契約者が高齢になったときに私的な年金の形で保険金が支払われる。年金や死亡給付金の受取額が決まっている定額個人年金と、運用利回り次第で金額が変わる変額個人年金がある。
銀行は、二〇〇二年十月から募集代理店として同保険を扱っており、店舗販売のほか、銀行員が訪問販売することも多い。外資系や損害保険会社系の生保会社などが提携先の銀行を増やして契約件数が伸び、特に変額個人年金の保有契約件数は〇二年三月末が約十五万件、今年三月末が約九十六万件と急増している。(生命保険協会調べ)
その一方、国民生活センターや各地の消費者センターに寄せられる相談も、〇二年度(半年間)が二十五件、〇三年度が九十三件、〇四年度が百四十六件と増えている。相談者の年齢は、六十歳代が26・3%、七十歳代が41・3%、八十歳代が7・7%で、お年寄りが圧倒的に多い。定額個人年金よりも変額個人年金の相談が多いという。
同センターは六日、銀行の個人年金販売のトラブルの実情を発表。問題事例として次の三例を挙げた。
<1>定期預金を希望して銀行を訪れたところ、有利だと勧められて変額個人年金を契約した。解約したが、解約返戻金は元本(一括で払い込んだ保険料)を割っていた。
<2>銀行の支店で勧められるままに外貨預金を解約して外貨建ての定額個人年金を契約した。帰宅後、危険性がある商品だと分かってクーリングオフ(無条件解約)を申し込んだが、断られた。 <3>定期預金が満期になる直前に銀行の担当者が自宅を訪ねてきて十年満期の変額個人年金を勧められた。長期の商品は嫌だと断ったが、断りきれずに契約させられた。
国民生活センターは「顧客の希望や適合性を見極めず、危険性の説明も不十分なことが多い。顧客の同意を得ずに個人情報を保険募集に利用することもある。銀行が販売したときはクーリングオフが適用されないことがほとんどだ。勧誘されてすぐに契約するのはトラブルの元。商品をよく確かめて」と呼び掛ける。
銀行が個人年金保険の販売に熱心なのは、生保会社から受け取る手数料の率が高いため。
大手地方銀行の営業担当者Aさんは「うちも個人年金に力を入れており、特に変額個人年金をがんがん勧めています」と話し、トラブルが多くなる事情について、次のように説明した。
「百万円の契約を取ったとしても、商品ごとに銀行が得られる収益(もうけ)は違う。預金や国債などに比べて個人年金による収益は大きく、特に変額年金の収益性がいい。営業現場は収益目標を達成するよう本部からあおられているので、顧客の希望をないがしろにして個人年金を無理やり勧めるようなことが起きてしまう」
金融庁や全国銀行協会、生命保険協会に対しては、銀行が販売したときでもクーリングオフの対象にすることや、取り扱いルールの厳格化などを求めた。両協会には、消費者の希望や適合性をよく考えて説明責任を果たすことや、確認書を形式的に取ったりしないことも要望した。
同センターは「銀行による保険販売が〇七年末にも全面解禁されるので早めに対応した」と説明しており、今後は銀行が営業現場への指導をしっかり行うかどうかに注目が集まりそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050714/ftu_____kur_____001.shtml