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生体認証では、人体の一部の特徴を利用して本人であることを確認する。筆跡も生体認証の一つだが、最近注目されているのは、指紋、掌紋、声紋、手のひらや指の静脈、目の虹彩、顔の特徴など。暗証番号やパスワードに比べて、本人を騙(かた)る「なりすまし」が難しいことと、本人が記憶する必要がないことが利点だ。
生体認証はすでに私たちの生活にどんどん広がっている。指紋でログインするパソコン用の認証装置は、すでに多数市販されている。また、一部の銀行の窓口やATMでは、手のひらや指の静脈で本人を確認している。ある居酒屋チェーン店では、アルバイトの出勤管理に指紋認証を使っている。成田空港でも、チェックインで顔や虹彩などで本人確認をする実験を行い、将来の導入を見据えている。
実用化が一番進んでいる方式が、指紋認証。EXPO会場では指紋センサーとソフトで二万円程度という製品が多数並べられていた。本人を間違って拒否する「本人拒否率」や、他人を間違って認証する「他人許容率」も年々よくなっている。
実用化が進む理由は、小型化が可能で低コスト、使い勝手がよく、信頼性も高いことだ。指紋認証サービス、ソフトのヒューマンテクノロジーズ社の担当者は「ユーザーが何もしなくてもいい顔認証が一番理想的だが、現在のところ指紋がコストパフォーマンスでは一番」と言う。
机などに付いた指紋から簡単に偽造ができそうだが、意外と難しい。指紋・顔認証システムのメーカー、ユタカ電気の担当者は「時間をかけて形をとって人工指を作ればパスしてしまうが、それには本人の協力が必要になる」と偽造は困難という。さらに、生体センサーを組み合わせれば、生体ではなくて模造品であることを見破ることも可能だ。
顔の輪郭や目の位置などをチェックする顔認証は、指紋や静脈などに比べると認識率は落ちる。ユタカ電気の担当者は「顔認証だけではセキュリティーが落ちるので、IDカードを併用している。顔認証のよさは顔写真が記録として残されること。このためデータセンターの入退出管理などに使われている」と言う。
センサーに顔を向けるだけで確認してくれるので、利用者の抵抗感が少ないことが最大の特長。このため、商業施設やマンションなどでも利用できそうだ。
認識率の確かさでは、虹彩と並んで信頼性が高いのが静脈。赤外線で指や手のひらを照射し、CCD(電荷結合素子)カメラで静脈のパターンを撮影する。偽造もきわめて難しく、IDカードなどとの併用でさらに信頼性は高まる。指の静脈認証装置を展示したアイ・ディ・テクニカの担当者は「サーバールームや薬品庫など限られた人しか入れない部屋の入退出チェックに使われている」という。
いいことずくめに思える生体認証だが、課題もある。パスワードなら、その漏えいが分かったら変更すればいい。でも、生体認証は自分の体の一部だから変更などできない。それだけに、実用化に向けてより厳重な情報管理システムが望まれる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20050711/ftu_____dgi_____000.shtml