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サムニングループのリフォーム会社は、一件当たり五百万円以上の工事契約では、複数の小口に分散したり、グループ内の他社の名義を借りたりしていたことが、警視庁生活経済課の調べで分かった。なぜか。
国土交通省によると、五百万円以上の工事を請け負うには、建設業法に基づき国交相または都道府県知事の許可を得る必要がある。許可業者は今年三月末現在、全国で約五十六万。しかし、五百万円未満の工事に許可は必要なく、無許可業者の実態は「見当がつかない」(建設業課)のが実情だ。
同グループで都知事の許可を得ていたのは元親会社「エム・エイチ・エス」と、「サムニンイースト」や「サムニンウエスト」などの管理会社「サムニンジャパン」の二社のみ。営業活動をするイースト社など傘下業者は工事契約を小口に分けたり、この二社の名義を借りて契約し、建設業法違反での摘発を逃れていたと警視庁はみる。
さらに、同グループは行政処分を逃れる“悪知恵”を働かせた。顧客からの苦情が相次ぎ、東京都は二〇〇〇年三月から昨年二月までに計三回、特定商取引法違反(不実の告知など)行為があったとして、エム社とイースト社に業務改善を指導していた。
だが、業務停止命令に次ぐ重い行政処分とされる業者名の公表には至らなかった。二社とも、行政指導の前後に会社名を変えたり、新会社に乗り換えていたためだ。都取引指導課は「社名が変われば追跡が難しい」と打ち明ける。
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行政や警察の監視の目が行き届かないところで、お年寄りが“標的”にされた。同グループと契約したのは〇二年四月から昨年十月までで、五千三百九十九人。このうち、約62%に当たる三千三百四十三人は六十歳以上だった。
横浜市に一人暮らしの認知症の男性(72)もその一人。〇三年、久しぶりに実家を訪ねた娘が、元イースト社地域担当部長鎌田悟容疑者(28)が屋根裏に入り込んでいるのを見つけ、追い返した。父親は既に二件、計三百二十万円分の契約を結ばされていた。
悪質リフォーム問題に取り組んでいる特定非営利活動法人(NPO法人)「建築Gメンの会」の中山良夫事務局長は「ほとんどの被害者はだまされたと気付かず、消費者センターに相談しない。行政が把握できるよう、例えば、許可が不要な工事を百万円未満に引き下げるのも一つの方法だ」と言う。
今回の事件で、警視庁は被害の全国的な広がりを考慮し、特定商取引法だけではなく、刑罰のより重い詐欺罪を適用した。捜査のネックは、高齢というのもあって契約の経緯について記憶があいまいな被害者が多かったことだ。数百人から事情を聴き、一級建築士に家屋の鑑定を依頼し立件にこぎつけた。
「訪問販売で安易に契約を結ばないよう警鐘を鳴らした」と捜査幹部は言う。
■被害女性『まさか自分が…』
サムニングループの一社「アルファイン」(東京都千代田区)の営業マンが昨年七月、「屋根の無料点検」と称して東京都内の四十代の女性宅を訪ねた。営業マンは「屋根裏の柱が傾いている。土台を直さないとどんどん傾く。高齢者はモニター料金で安くなります」と畳み掛けた。築二十五年と古く、不安になった女性は、七十代の母親名義で約三百九十万円の床下工事を契約した。
工事が始まると同社役員だった鎌田悟容疑者(28)が訪れ、浴槽の水漏れや台所の水道管の老朽化などを次々と指摘、改修の必要性を訴えた。「他社だと高くなるよ」と長時間粘られ、根負けした女性は新たに計約五百万円で工事を契約した。
契約を取った鎌田容疑者はひょう変。浴槽のタイプを尋ねる女性に「説明しても分からないくせに」。高圧的な態度に不信感を抱いた女性が台所工事の解約はがきを送ると、鎌田容疑者が飛んできて「なんでクーリングオフするんだ」とすごんだという。
都消費生活総合センターを通じて専門家の鑑定を頼んだところ、屋根裏の柱は数ミリずれているだけで不要工事と判明。同センターの仲介で、女性は昨年九月、百万円だけを支払うことで和解した。女性は「点検商法は知っていたが、まさか自分が被害に遭うとは。今でも気付かない人がいるのでは」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050705/mng_____kakushin000.shtml