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2005年06月30日(木) 03時20分

三菱グループ大半、総会非公開 閉鎖性が生む硬直化 不祥事防止決意に残る疑念産経新聞

 千六百社を超える上場企業の株主総会が二十九日、全国で一斉に行われ、多くの不祥事企業で経営トップが株主に陳謝する場面がみられた。なかでも注目されたのが、近年不祥事が絶えることのない、日本最強の企業集団「三菱グループ」の対応だ。三菱自動車や三菱重工業に続き、この日も三菱地所、三菱マテリアルなどで首脳陣から陳謝の言葉が繰り返されたが、総会は大半の企業で非公開で行われ、再発防止の決意に疑問を抱かせた。戦後日本の産業界をリードしたエリート集団の病はどこにあるのか。(樋口教行)
 二十九日午前、産業界の名門企業である三菱マテリアル、三菱地所、三菱電機のトップが、ほぼ同時刻に都内の別々の場所で、株主に頭を下げた。前日は三菱重工、六日前には三菱自動車でも同じ光景が繰り広げられた。だが、この模様が公開されたのは自動車と電機だけで、他の三社はかたくなに拒否した。
 マスコミへのモニター公開は、場内の固定カメラ映像と音声に限られ、株主の表情は見えない。だが、株主が何にいらだっているかは伝わってくる。三菱自では「危機感が足りない。社長以下全社員が心を入れ替えたか」と叱責(しつせき)が飛び、会場に拍手が広がった。何度も頭を下げるトップの姿を人目にさらすのは、再発防止に本気で取り組むか否かを測る格好のバロメーターのはずだ。
 それにもかかわらず、公開を断る理由は、「株主に公開を事前通知していない」(重工)「モニターのスペースがない」(マテリアル)「あくまで株主のための会」(地所)。各社とも法令順守の徹底を約束したが、どこまで本気なのか疑念が残る。地所とマテリアルでは引責辞任したトップが取締役にとどまり、違法勧誘問題の明治安田生命保険も、辞任した元役員の再雇用が判明した。
 ■内向き姿勢
 三菱グループの不祥事は過去十年、枚挙にいとまがない。官公庁の入札談合、製品・サービスの欠陥隠しが多いのが特徴だ。談合では悪慣行を断ち切れぬトップ企業の責任は重い。製品やサービスの欠陥隠しは、企業の存在意義さえ問われる。株主や納税者、顧客の利益より、業界や組織の論理を優先する内向きの姿勢が浮かび上がる。
 戦後の経済界で三菱グループは「日本企業の鑑(かがみ)」とされてきた。ものづくりの品質の高さ、労使協調の安定した職場、国益や長期的視野に立つ経営判断、熱心な社会貢献活動など日本企業の美徳には、業界トップの三菱グループ企業が範を垂れてきた。続発するグループ不祥事は、日本企業全体の問題とも重なる。
 企業不祥事に詳しい桐蔭横浜大学法科大学院の郷原信郎教授は「形式的な法令順守さえしていればいいという消極姿勢が不祥事再発の根本原因」とみる。米国での違法行為は個人的利益が動機の「害虫型」なので除去には殺虫剤の散布にあたる刑事罰の強化などが有効だが、日本の違法行為の多くは「法令と実態の乖離(かいり)や企業体質などで恒常化したカビだ」と手厳しい。このため処罰や処分では効果がなく、「原因解明と是正措置による『湿気や汚れの除去』が不可欠」と指摘する。
 三菱グループの場合、組織の「風通しの悪さ」を指摘する向きもある。旧財閥の名門意識もあって、外部人材を受け入れない純血主義で役人の天下りも拒んできた。
 ■変化の兆し
 こうした組織の体質的な問題に、変化の兆しもみえる。三菱重工は二十八日、社外取締役にアイシン精機前会長と社外監査役に全日空元会長を迎えた。従来は商事や銀行などグループ役員のみで、純粋な社外役員は初めてだ。
 三菱自は総会後、株主をショールームに案内し、役員が株主の声を聞く場をもった。益子修社長は「厳しい意見も激励もいただいた。来年は株主懇親会を開き、より多くの声を聞きたい」と述べた。三菱商事は三年前から株主総会をインターネット上で公開し、キリンビールも今年から総会をマスコミ向けモニターで公開した。ともに不祥事と関係なく自主的に決めたが、両社は株主や顧客の声を聞く企業として評価が高い。グループの信頼回復は外部の声に耳を傾けることから始まるはずだ。
(産経新聞) - 6月30日3時20分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050630-00000000-san-bus_all