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外国為替証拠金取引は一九九八年に外国為替取引が自由化されたことで始まった。一定の「証拠金」や「保証金」と呼ばれる金を業者に預け、業者はその金を担保として外貨取引する。
たとえば、取引単位一万ドル以上、必要な証拠金が一万ドルあたり十万円の条件で、為替レートが一ドル=一一〇円の時に十万円を預け、一万ドル(百十万円)を買った場合を想定する(手数料などを除く)。
相場が五円円安(一ドル=一一五円)になった時に売れば、ドルの価値は上がっており、五万円がもうかる。逆に五円円高(一ドル=一〇五円)になった時に売れば、五万円の損失となる。
同取引など“先物買い”の大きな問題は、買い手の予想を上回る損失リスクが、あまり知られていない点だ。相場は大きく変動することがある上、業者へ最初に差し入れる金は、あくまで「担保」。担保の十倍もの取引が可能なケースもあり、元手以上の損失が生じる危険性をはらんでいるという。
同センターに寄せられた同取引に関する相談は二〇〇二年が三十五件、〇三年が百五十件、〇四年は二百七十三件と急増している。その大多数は金融知識が乏しい六十五歳以上の高齢者だ。損失金額が大きいのが特徴で、〇四年の相談のうち百七十五件は百万円以上。一千万円以上が二十七件あり、最高額は七千万円に及ぶ。
販売員が突然、自宅を訪れるなどして「銀行に預けているのと同じ」「損はさせない」「確実にもうかる」などと、甘い話で勧誘するケースが後を絶たない。
さらに実際には取引をしていないにもかかわらず、架空の損失を顧客に伝えて金を巻き上げたり、突然会社が「倒産」して、連絡が取れなくなるなど“確信犯”とみられる悪質業者もいるという。
同センターは「こつこつとためた老後のための資産をすべて失ったケースもある。外国為替証拠金取引はきわめて複雑な金融商品で、理解できないものには手を出さないのが賢明だ」と呼びかける。
一方、同取引をめぐるトラブルの急増を踏まえ、業者への規制を盛り込んだ改正金融先物取引法が七月一日から施行される。内容は(1)業者を登録制にする(2)要請がない顧客への訪問や電話による勧誘の禁止(3)広告には取引リスクを明示する−などだ。
県先物取引被害弁護団事務局長の山下茂弁護士も「法施行後は怪しい業者が活動しにくくなるだろうが、それまでに駆け込みで被害が出ないとも限らない」と指摘。「世の中に甘い話はない。高齢者に任せきりにしないで、家族や周囲の人も十分注意してほしい」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20050627/lcl_____stm_____000.shtml