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生産履歴を店頭で見られる農産物はまだ少数。農薬使用の現場を消費者が見る機会も少ない。同県が二〇〇三年度に行ったアンケートでは、53%の県民が「基準が守られていても農薬の使用に不安を感じる」と答えた。そんな背景からこの本は生まれた。
▽農薬ってこんなもの▽私たちの健康▽環境への影響▽輸入農産物と農薬−など六部構成。難しい言葉は使わず、「群馬さん一家」と生産者らの会話、絵日記仕立てだ。
「農薬を使う理由」では、出荷規格に適合させ、旬に関係なく、病虫害が発生しやすい時期にも収穫するには、必要な場合もある−と生産者の立場を説明。農薬で除草作業が減り、一九五〇年に十アールあたり約五十時間かかった労働が、二〇〇〇年には約二時間という農水省統計も掲載した。
「農薬の安全性の確認」は、行政の立場から。人や動植物への毒性や作物の薬害などに関する、さまざまな規制や試験の説明もある。
「安全性」ばかりを強調する書き方は避けている。食用農産物への農薬使用では、国内で認められた農薬約三百五十のうち、残留基準値があるのは二百四十六。それ以外の農薬が食品から検出されても食品衛生法の規制対象外と明記した。残留基準がないものは現在、農薬登録保留基準(環境省)で安全を判断しているが、来年五月から、国内外で使う農薬すべてを規制する「ポジティブリスト制」が導入されることも紹介した。
また、複数の農薬などが混ざって悪影響を及ぼす複合汚染や、農薬と内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の作用との関係は「まだ分かっていない」とした。
作製には一般県民も参加。市民グループなどの意見にも耳を傾けた。「反農薬東京グループ」の辻万千子代表は、「内容にまだ生ぬるさもあるが、正面から農薬に向き合ったことは画期的。行政の出版物の改革第一歩」とし、読本の帯に推薦の言葉を寄せている。辻さんの指摘で、県は一部記述を「農薬は体内に一定期間吸収・蓄積されるものもある」と訂正。「環境への影響」の内容も充実させた。
担当した食品安全課の松井香理さんは「安全基準が守られている中で、どこまでなら許容できるのか、消費者が知識を持った上で自分なりの基準ができれば、不安も解消できるのではないか」と期待している。
農薬読本は携帯サイズ(A5判)、カラー96ページ。各種制度や基準、法令など専門的な内容は巻末の付録で紹介。定価320円(送料別)。購入、問い合わせは群馬県食品安全課=(電)027・226・2431=へ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20050626/ftu_____kur_____000.shtml