2005年06月16日(木) 14時39分
東武線踏切事故、鍵握る社員が次々入院…捜査進まず(読売新聞)
東武伊勢崎線竹ノ塚駅(東京都足立区)近くの手動式踏切で3月15日、4人が電車にはねられ、うち2人が死亡した事故で、全容解明の鍵を握る東武鉄道本社の社員3人が、警視庁捜査1課の事情聴取後に相次いで入院し、捜査が進まない状況になっていることが、16日わかった。
捜査1課は、3人が入院するのは極めて不自然だとして、同社に対し、事情聴取に応じるよう口頭で異例の要請を行った。東武鉄道は「何も話せない」としている。
捜査1課によると、事故から14日後の3月29日、事故時に踏切を操作していた同駅踏切保安係・小松完治被告(52)(業務上過失致死傷罪で公判中)の上司の竹ノ塚駅駅長が、うつ病と診断され、入院した。
駅長は入院直前、捜査1課の任意の事情聴取に、「踏切保安係が、普段から(遮断機を下げた後にロックを解除して)遮断機を上げていたことは知っていた」などと、踏切保安係の内規違反を黙認してきたことを認める供述をしていた。
駅長はすでに退院した。捜査1課によると、駅長は退院後、「1人だけでの聴取には応じられない」と伝えたという。
次に入院したのは、電車の運行業務全般を担当する同社鉄道事業本部所属の30歳代の中堅社員。捜査1課の聴取に「内規違反は知っていた」などと供述した直後の5月26日、東武鉄道の嘱託医も務める都内の神経科医院で抑うつ障害と診断され、現在も入院している。
また、この社員の上司に当たる50歳代の男性社員も今月4日、同医院でうつ病と診断され、入院中だ。
この上司は入院前、捜査1課に、「当初の聴取では、会社の管理責任が問われることを恐れてウソをついていた」という内容の上申書を提出。そのうえで、「踏切保安係がロックを解除していることは認識していた。指導する部署の幹部は危険性の認識は最低限はあった」「今回の事故は一個人の犯罪ではなく、会社全体の責任だ」などと、会社側にも過失責任があるとする供述を始めていたという。
捜査1課では現在、事故現場の踏切の危険性について、同社上層部がどの程度把握していたかについて解明を進めているが、同課幹部は「事故の過失責任の全容を解明するため、協力してもらわなければならない社員が、相次いで入院し、捜査に支障が出ている」と話している。
3人の入院について、同社広報センターは、「(入院が)事実かどうかも含めて、話すことは何もない」としている。
(読売新聞) - 6月16日14時39分更新
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