2005年06月16日(木) 11時55分
<わいせつ漫画>「懲役刑は重過ぎる」と罰金刑に 東京高裁(毎日新聞)
露骨に性描写した漫画を出版したとして、刑法のわいせつ図画頒布罪に問われた出版社「松文館」(東京都豊島区)社長、貴志元則被告(56)に対し、東京高裁は16日、懲役1年、執行猶予3年の東京地裁判決(04年1月)を破棄し、罰金150万円に減刑する判決を言い渡した。田尾健二郎裁判長は「漫画のわいせつ性は実写に比べて相当開きがあり、懲役刑は重過ぎる」と述べた。漫画がわいせつ図画にあたるかどうかが初めて争われた事件は、2審も有罪判決となった。被告側は上告する方針。
問題とされたのは、全編の3分の2が性器や性交などを描写した成人向け単行本「蜜室(みっしつ)」(1冊920円)。弁護側は▽思想信条や表現の自由を定めた憲法に違反する▽実写に比べ性的な刺激は小さくわいせつと言えない——などと無罪主張していた。
判決は「わいせつ図画頒布罪は、特定の価値判断や道徳観念を強制し、心の活動を侵害するものではなく、憲法に違反しない」との判例を踏襲。「性交などの場面が露骨で詳細に描かれており、芸術性があるともいえず、わいせつ物と認められる」と指摘した。
判決によると、貴志被告は02年4月、同社編集局長と漫画家=ともに罰金50万円が確定=と共謀し、「蜜室」約2万冊を16店に卸した。【武本光政】
(毎日新聞) - 6月16日11時55分更新
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