2005年06月10日(金) 03時01分
ドコモ「mova」 料金体系一本化へ 新規参入企業に対抗(産経新聞)
NTTドコモの中村維夫社長は九日、産経新聞のインタビューに応じ、携帯電話の料金プランを今秋に見直す考えを明らかにした。第二世代携帯電話「mova」シリーズを中心に変更し、昼夜、土日祝日など時間帯で分けている複雑な通話料金体系を基本的に一本化していく方向だ。携帯電話の料金競争が激しくなる中、「顧客に分かりやすい料金体系の構築が必要」と判断。シンプルな料金体系で携帯参入を目指すソフトバンクやイー・アクセスを牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。(冨岡耕)
ドコモのmovaの通話料金体系は現在、各基本料金ごとに(1)平日昼間(午前八時〜午後七時)(2)平日夜間(午後七時〜午後十一時)(3)土日祝日(午前八時〜午後十一時)(4)深夜・早朝(午後十一時〜午前八時)−の四区分で分かれている。
中村社長はこれについて、「第二世代携帯の料金プランは複雑すぎる。夜間とか昼間とかの区分はやめる。分かりやすく、すっきりさせることが必要だ」と明言。今秋までに新料金プランを作成する考えを示した。
現行プランでは、最も高い「平日昼間」にかける場合と最も安い「深夜・早朝」にかける場合で約二倍も通話料に差が出る。料金プランを一律化することでこれを解消、時間帯による区分のない料金体系にする方向だ。具体的な通話料の設定は今後詰めるが、大半の利用者にとって実質的に料金引き下げになるとみられる。ただ、基本料によっては現在の料金プランも一部残す見通しだ。
また、第三世代携帯電話「FOMA」シリーズは現在(1)平日昼間(2)それ以外−の二本立ての料金プランを採用し、movaよりも簡素化しているが、終日一律料金の導入も検討するとみられる。
ドコモが料金プランを見直す背景には、来秋に始まる「番号ポータビリティ」(電話会社を変更しても番号継続ができる制度)や新規参入を見通した顧客流出の阻止がある。KDDI(au)は、基本的に終日一律の通話料金プランを採用しているほか、ソフトバンクなど新規参入組も「料金を単純化する」と意気込んでおり、ドコモも早期対応を迫られていた。
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■NTTドコモ・中村社長の主な発言
【携帯電話の新規参入】新規参入には最初から反対だ。世の中に逆行している。米国をはじめ、世界中で集約の方向にあるのに何で日本だけ新規参入があるのか。携帯が生活必需品になった今、固定電話とは違って、移動中にも通じるようなすき間のないネットワークを構築するのは大変だ。各社とも多大な設備投資を毎年行っているのはそのためだ。新規参入者が本当にネットワーク投資をしていけるのか。消耗戦だけの料金競争になっては意味がない。
【一人当たり利用料の減少】音声収入をこれ以上、引き上げるのは無理だ。音声以外のデータ通信収入をどう上げるかが焦点になる。メールしか利用していない人は全体の八割もおり、そこを何とか底上げできるような魅力的なコンテンツ(情報の内容)をつくりたい。映像系など動画像の強化も必要だ。また、国際分野が成長する。世界共通で使える第三世代携帯が増えれば、海外も大きな市場になる。
【番号ポータビリティ問題】危機感はある。設備屋の視点ではなく、顧客の視点に立っているかを再度見直ししている。携帯市場が伸びていたときは事業者主導の感があったが、時代は変わり、顧客の好みも多様化している。(デザインを重視した)端末や、料金の見直し、ネットワーク投資の前倒しなど顧客ニーズに合わせて積極的に取り組んでいく。累計シェア(占有率)では五割以上を確保したい。
(産経新聞) - 6月10日3時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050610-00000013-san-bus_all