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調べでは、四月六日昼ごろ、主婦宅へ弁護士を名乗る男から「息子さんが女性のおしりを触った。おなかに子どもがいる女性で、ショックで気分が悪くなった」と電話があった。金を払わなければ新聞社へ知らせるなどと言ったため、主婦は指定された郵便局口座へ金を振り込んだ。
だがその後も、男や被害女性の父親を装う別の男から「警察へ告訴する」「娘が破水しそうだ」とたびたび連絡があり、金を要求。主婦はその都度、数百万円を振り込み、八日までの三日間で計二千五百万円をだまし取られた。
何度も多額の金を引き出す主婦を不審に思った郵便局員が警察へ通報。駆け付けた警察官が事情を聴き、だまされたことが分かったという。
■県警 必ず相手の確認を
「あなたの身内が痴漢で捕まりました」−。警察や報道関係者などを装い、こんなうそで示談金名目の金をだまし取る犯行が県内で横行している。今年一−五月で八十三件起き、被害総額は二億二千万円を超す。わいせつ行為だけに周囲への相談や確認をためらう心理を突いた手口らしい。痴漢示談金名目詐欺は特に首都圏で多いといい、県警も「警察の示談仲介や、金で報道が止まることはあり得ない。必ず確認を」と呼び掛けている。
県警によると、一−五月の既遂の振り込め詐欺事件は百九十八件(被害総額五億二百九十一万円)発生。このうち痴漢示談金名目は八十三件(同二億二千三百五十一万円)と41・9%を占める。ほぼ二日に一件は起きている計算で、月を追うごとに増加傾向だ=グラフ。
一件あたりの被害額は二百万円以下が最も多く四十九件。最高被害の二千五百万円の事件は、一時期はびこった「妊婦相手の交通事故」の手口も組み合わせた悪質なケースだった。ほかにも▽鉄道警察隊員を装い「特別配慮」として息子を名乗る男を電話に出す▽弁護士などを名乗り「被害者の親族に報道関係者がいる。金を払わないと報道する」と言う▽教員家庭を狙い、同僚教師をかたって「だんなさんが生徒にセクハラをした。親が報道関係者で、記事を抑えるのに金が必要」と要求−などもある。
被害防止には本人や周囲への確認が重要。だが、痴漢で逮捕されたと聞くと本人に確認が取れないと思い込む上、周りへの相談をためらう。県警捜査二課は「電話相手の所属と名前を確認し、一度切ってかけ直すだけでも防げる。何よりも『振り込め』と言われたら、まず詐欺と疑ってほしい」と呼び掛けている。
(中沢 佳子)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20050603/lcl_____kgw_____000.shtml