2005年05月26日(木) 00時00分
忍び寄る「サイバー犯罪」(朝日新聞・)
県内で、インターネットを利用した「サイバー犯罪」の被害相談が急増している。IDを勝手に使われ有料サイトを閲覧されたり、架空請求のメールを送りつけられたりといった手口が目立つ。県警サイバー犯罪対策室は「情報セキュリティーへの意識を高めて被害に遭わないよう気をつけて」と呼びかけている。(岡本智)
●「30万円払え」
綾歌郡内の30代の男性会社員の携帯電話に昨年、メールで8万5千円の請求が届いた。アダルトサイトの運営業者からだ。どのサイトかわからないが、アダルトサイトにアクセスした覚えはあったので、請求通り振り込んだ。
業者に領収書を送ってもらおうと電話をすると、「別の業者からも料金回収を依頼されている。あと30万円振り込め」。怖くなった会社員は県警本部へ相談に駆け込んだ。
県警によると、04年に県警に寄せられたサイバー犯罪に関係する相談や情報提供の件数は、626件。5年間で約6倍に増えた。
前出の会社員のような架空請求や、携帯電話にメールで送りつけられたアドレスやパソコン画面に表れたアダルトサイト広告などを1回クリックするだけで、一方的に入会料などを請求し、指定の口座に振り込ませる「ワンクリック詐欺」の被害が、相談の半数以上を占める。
県警によると、架空請求は「無視すること」。また「メールに添付されたアドレスを興味本位でクリックしないこと」が第一だが、もしクリックして請求が来たとしても、本人の同意がないなど契約の条件がそろっていないことがほとんどなので支払う必要はない。あわてて振り込んだりせず、警察に相談してほしいという。
●ネットカフェ
県内でも次々オープンし、利用者が増えているインターネットカフェにも危険は潜む。
県内での被害はまだ報告されていないが、何者かが「キーロガー」と呼ばれるプログラムを入れてキー操作の順番を記録し、ネット銀行を利用した客のパスワードを盗みだして不正に現金を引き出す事件も実際に起きている。
ネットカフェでは客の身分確認を徹底し、利用があるごとに余計なファイルやプログラムを消去しているという。だが高松市内のあるネットカフェの店長(26)は「拾った会員カードで利用されれば、それ以上身分確認のしようがない」。別のネットカフェの店長(24)も、「専門的な知識を持った人が悪意のあるプログラムを隠して入れたとしたら、店側は確認できない」とこぼす。
県警は、「不特定多数の人が使うパソコンで、個人が特定できるようなID、パスワード、暗証番号などを打ち込まないように」と、注意を呼びかけている。
●簡単な知識で
こうした危険を少しでも知ってもらって被害をなくそうと、県警は今月から、県内の高校45校や公立図書館などに、警察庁が監修したサイバー犯罪の被害をテレビドラマ風に解説したビデオを配り、小中学校にもパンフレットを配った。
また、18日には県内のプロバイダー事業者を集めて「県プロバイダー等防犯連絡協議会」を開き、互いのサイバー犯罪への取り組みに関して情報交換をした。
県警生活環境課サイバー犯罪対策係の担当者は「簡単な知識があれば、被害を防ぐことができる。個人個人が少しでも安全に対する意識を持ってほしい」と話している。
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http://mytown.asahi.com/kagawa/news02.asp?kiji=7375
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