2005年04月14日(木) 14時39分
偽装カード被害、全銀協「銀行が補償」明示(読売新聞)
全国銀行協会(会長・西川善文三井住友銀行頭取)が策定を進めている偽造キャッシュカード被害の新たな補償ルールが14日、明らかになった。
月内に発表する。被害は原則として銀行が補償すると明記し、暗証番号に生年月日や自宅の電話番号を使った場合なども、原則補償としたのが特徴だ。預金者に故意や重大な過失がある場合など、預金者に責任があるため銀行が補償しない5ケースも例示した。
補償範囲とされた預金者の軽度の過失も複数重なれば、銀行が補償対象外の「重大な過失」と判断する恐れもあり、全銀協は注意を呼びかける。
全銀協がまとめたのは、銀行と預金者の取り決めである約款の「ひな型」で、ルールを加盟銀行の約款に反映させるよう求める。
「カード規定試案」と題したルール案は、生年月日、自宅や勤務先の電話番号などを暗証番号に使ったり、暗証番号のメモをカードと一緒に携帯していた場合は、「預金者に継続的に注意喚起」する項目と位置付け、補償の対象に含めた。
これらのケースは、金融庁の研究会が3月31日にまとめた補償ルールの中間取りまとめでは、「状況により預金者が被害を負担する可能性がある」ケースとされており、全銀協のルールは、補償の範囲をより明確にしたことになる。
一方、銀行が偽造キャッシュカードの被害を補償しないケースとして、〈1〉預金者本人が他人に暗証番号を知らせた〈2〉暗証番号をカード上に書いた〈3〉自分でカードを第三者に渡した〈4〉カードが第三者に占有された理由が預金者にある〈5〉その他、預金者に故意または重大な過失がある——の五つを明記した。
預金者に責任があると立証する責任は、金融機関側にあるとした。
全銀協は、盗難キャッシュカードの被害については「過失の度合いが偽造キャッシュカードと違う」として、従来の「補償しない」という規定を変更しなかった。
ただ、盗難カードの被害補償は与野党が法制化を議論しているほか、金融庁の研究会も検討を進める方針だ。このため、全銀協も、研究会の議論などを踏まえ、保険の活用や補償の是非について対応を検討していく考えだ。
◆約款=金融機関と預金者の契約を明文化したもので、「カード規定」などと呼ばれている。現金自動預け払い機(ATM)の手数料やカードを紛失した場合の届け出義務、譲渡禁止などさまざまな規定が盛り込まれている。
(読売新聞) - 4月14日14時39分更新
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