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判決理由で島田裁判長は「教団に敵対するという一事をもって、正当な活動をしていた弁護士を家族もろとも皆殺しにするなど、法治国家の秩序を一顧だにしない反社会性の極めて強い犯行」と断じた。
岡崎被告側は起訴事実を認めた上で、犯行を自供し事件解決に貢献したことから、一貫して「自首を認めて刑を軽くすべきだ」と主張、死刑回避を求めてきた。
これに対し、島田裁判長は「いずれの犯行も自首して反省し、被害者の冥福を祈っていることなど、くむべき事情を十分考慮しても、刑事責任は極めて重大といわざるを得ない」と指摘。一、二審と同様、自首の成立を認めた上で、刑の減軽は認めなかった。
判決は、島田裁判長をはじめ、泉徳治、才口千晴の三裁判官による全員一致の結論だった。
一、二審判決によると、岡崎被告は麻原被告らと共謀し、教団と対立していた坂本弁護士=当時(33)=の殺害を計画。一九八九年十一月、横浜市磯子区の坂本弁護士宅に侵入、就寝中の坂本弁護士と妻都子(さとこ)さん=同(29)、長男龍彦ちゃん=同(1つ)=の三人を首を絞めるなどして殺害。同年二月には、静岡県富士宮市の教団施設内で、脱会しようとした信者の田口修二さん=同(21)=を絞殺した。
一審東京地裁は九八年、「自首の動機は自己保身で、刑の減軽は相当ではない」として求刑通り死刑を言い渡し、二審東京高裁も二〇〇一年、被告側の控訴を棄却した。
■解説 厳しい姿勢、波及は必至
一連のオウム裁判で、初めて死刑が確定するのが岡崎一明被告となったことは、後に控える他の元教団幹部たちの上告審の行方を占う上で、大きな意味を持つ。
岡崎被告は、地下鉄サリン事件の直後、教団の関与や実行メンバーを警察当局に自供し、結果的に一連の事件解明が進展した。公判でも当初から起訴事実を認めていた。
そうした事情から、下級審で死刑判決を受けた元幹部ら十三人の中で、特に有利な情状を持つとみられていたのが岡崎被告だった。
刑法は、自首した被告の刑を減ずることができると規定している。岡崎被告側の死刑回避の主張が通るかどうかは、裁判所の裁量にゆだねられていた。
だが、最高裁は一、二審と同様、自首は認めながら、岡崎被告が坂本弁護士の首を腕で締め付けるなど犯行で果たした重大な役割、厳しい遺族感情、社会的影響などを考慮し、被告側の主張を退けた。
岡崎被告の死刑が確定する以上、膨大な被害者を生んだ松本、地下鉄両サリン事件の実行犯らの判決に、最高裁が厳しい姿勢で臨むことは容易に予想できる。 (社会部・鬼木洋一)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050407/eve_____sya_____007.shtml