2005年03月30日(水) 15時48分
<個人情報保護法>業界は「別の商売準備」や「モグリ」も(毎日新聞)
東京都内に数十社あり、学校の卒業生名簿や通信販売の顧客名簿などを集めて第三者に提供する「名簿ビジネス」。業界では、個人情報保護法の4月からの全面施行に合わせ、「法に触れる可能性がある」と業務形態を変えるところもあれば、これまで通りの営業を続けるところもある。実態に不透明な要素の多い業界は、保護法とどう向き合うのか。
東京・新橋にある「名簿図書館」。雑居ビル2階の事務所には、1部上場企業から大学の同窓会、健康食品、アダルトグッズ購入者の名簿まで、書架に並ぶ。所有する個人情報は5億件を超え、ダイレクトメール業者などを対象に名簿の閲覧とコピーを商売にしてきた。
しかし、保護法は個人情報の本人同意なしでの目的外利用や第三者提供を禁止する。半年前に、3人の弁護士に業務内容を相談したところ「このままでも平気」「とても続けられないだろう」と見解が真っ二つに分かれたという。
そこで、4月からは、名簿が実質的に外部に持ち出されるのを防ごうと、コピーを禁止し閲覧のみで、「人探しと調査用」目的での利用に限定、社名も「ソフトライブラリー」と変更することにした。田村武男館長は「当面、これで営業してみて(監督官庁に)駄目だといわれれば、やめるしかない。できないのであれば、別の商売も準備している」と話す。
一方、「法ができてありがたい。正式に認知されたようなもの」と話すのは有限会社「イアラ」(東京都中央区)の雨宮和人社長だ。名簿図書館とほぼ同様の業務だが、雨宮社長の見解は、「法に抵触する部分はない」だ。ホームページで所有する名簿などを明らかにし、苦情の受け付け窓口を設け、本人から求めがあれば手数料を取って情報を抹消。それ以降は第三者への提供はしない。「この仕組みを確立していれば法律上は問題がない」という。
雨宮社長は「法律ができたことで、これまでモグリの商売と見られていた名簿ビジネスが認知されることになる。個人情報は、既に情報社会のインフラ。流通を止めることはできない」と話している。
これに対し、経済産業省は「名簿業者はどのように名簿を使うかを明示しなければいけないが、業務スタイルは会社によって違うので、ケースによって対応も変わる。保護法を良く理解してほしい」と話している。【澤圭一郎】
(毎日新聞) - 3月30日15時48分更新
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