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2005年03月28日(月) 21時11分

<偽造カード>銀行に補償義務づける特別法で合意 自民小委毎日新聞

 自民党の「偽造・盗難キャッシュカード問題に関する小委員会」は28日、偽造キャッシュカードで引き出された預金の被害に対し、銀行に補償を義務づける特別法を制定する方向で大筋合意した。29日の同党財務金融部会・金融調査会合同会議で正式に了承する。銀行だけでなく、農漁協などすべての預金取扱機関を対象にする見通し。法律による補償の義務付けを嫌う全国銀行協会はカード約款の自主的な見直しで抵抗。金融庁は自民党と業界の板挟みに困惑している構図だ。
 「いったいどうなっているんだ。こんなことですむと思っているか」——。2月23日に開かれた自民党小委員会に出席した議員らは、金融庁の担当者に前日の全銀協の発表内容の説明を求めた。
 全銀協の西川善文会長の22日の記者会見で「偽造キャッシュカード被害は、原則金融機関が補償する」などと、カード規定を見直す方針を明らかにした。しかし、その内容は小委員会の委員を務める議員にも説明されていなかった。
 ある議員は「小委員会では、記者会見の内容を伝える新聞を握りしめて、議論をした。こんなことは前代未聞だ」と全銀協を批判した。
 もともと、偽造カード問題は大手行にとっては「触れられたくない難しい問題」(大手行)だった。偽造カード被害の補償を簡単に認めれば、被害者に成りすました詐欺行為が起きる恐れがあるからだ。このため「本当の被害者に冷たい対応をしたのも事実」(大手銀行)だ。
 年明け以降に問題がクローズアップされてからも「対応が後手、後手で、国会議員を怒らせた」(金融庁幹部)結果になっており、その溝は深い。全銀協は、小委員会への出席も拒絶されているほどだ。
 民主党は25日、偽造カードだけでなく盗難通帳や盗難カード被害も原則として銀行に補償させる法案を国会に提出した。
 自民党の中にも、同様の法律を提出すべきだとの意見がある一方で、「まずは偽造カード被害に絞って、確実に法案を通す」という声もあったが「預金者保護に万全を期すべきだ」などの意見にかき消される。全銀協は25日になって、22日の会見録などを持って議員を回ったが、後の祭りだった。
 銀行法改正も含めて検討していた金融庁は議論が進むにつれて「民間と銀行の契約関係に、行政が口を出すのは難しい」と法律による補償強化には消極的になった。
 自民党が法制化にこだわる理由は、農漁協など銀行以外の預金取扱機関にも同様の義務を課すことに加えて、「被害者救済や予防措置を努力目標に終わらせない」(自民党)ことが目的だ。同党は、全銀協などに対して、補償を義務づける約款変更が進んでいるか、被害があった場合に確実に補償をしているかどうかをチェックするモニタリング機関の設置なども要請する方針だ。【古田信二】
(毎日新聞) - 3月28日21時11分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050328-00000110-mai-bus_all