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名古屋市内のあるドラッグストア。COQ10の人気に火がついた昨年秋ごろから、特設コーナーを設置した。サプリメントのほか、美容クリーム、化粧水など十種類の商品がずらり。月の売り上げはサプリメントが八十個、美容クリームに至っては二百個と、今でも店の主力製品だ。「疲れにくくなる」「元気がわいてくる」と、幅広い年齢層が買い求めているという。
同市内の主婦(46)は「老化防止に効くって聞いて、のんでみたいと思っていました。友達にもたくさん愛用者がいますし。あとはお財布の中身と相談しなくちゃ」と、熱心に品定めしていた。
COQ10は、もともと体内で合成され、細胞内で糖を燃やして、エネルギーを作る手助けをする物質。だが、二十代をピークに減っていく。例えば、心臓の細胞でCOQ10が不足してくると、エネルギー生産が追いつかず、どうきや息切れといった症状を引き起こす場合もあるという。
以前から、軽症の心不全などの薬として使われていたが、二〇〇一年四月の食薬区分改正で、健康食品として利用できるようになった。〇四年十一月には、薬事法が改正され、化粧品にも添加されるように。COQ10の普及を目指すNPO法人「日本コエンザイムQ協会」(事務局・東京)は「いつまでも若々しく、元気に暮らすために必要な物質。のみ続ければ、必ず効果が期待できる」と話す。
だが、久留米大学医学部の松岡秀洋助教授は「過剰に摂取すれば、有害になることもある」と指摘する。
松岡助教授らは、健康な男女百十四人を対象に、動脈硬化とCOQ10の関連について調べたところ、動脈硬化が進んでいる人ほど、血中のCOQ10濃度も高いことが分かったという。「動脈硬化とCOQ10の因果関係についてはまだ分かっていないが、不足していないことは確認できた」
COQ10は、細胞を傷つけ、老化にもつながると言われる活性酸素と結び付くことで、細胞を酸化から守る抗酸化の働きも担っている。だが、酸素と結びつくということは、自身が酸化物質になるということ。加えて、脂で溶ける性質を持っているが、溶けずに残ったものはそのまま体内に蓄積されてしまう。つまり、どんどん酸化物質をため込むことになると説明する。
松岡助教授は「これでは逆効果。動脈硬化をさらに進展させる危険性もある。長期間のみ続けた場合の効果や副作用などについて研究はまだ十分と言えず、解明されていない点も多い。過剰摂取は避けたほうがいい」と警告する。
国立健康・栄養研究所(ホームページはhttp://www.nih.go.jp/eiken)の健康食品の素材情報データベースは、摂取時の注意点を挙げている。米国心臓協会では、心臓や血液疾患の治療や予防にCOQ10を薦めないとするガイドラインを示している。
「いきいきと長く暮らしたいと考えるなら、まずはバランスの取れた食事や適度な運動、禁煙などの生活習慣を見直すことが第一」と松岡助教授。あふれる情報に振り回されないことが大切だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ken/20050325/ftu_____ken_____001.shtml