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調べによると、堤容疑者は昨年六月、西武鉄道社長(当時、死去)と共謀し、西武鉄道の筆頭株主コクドの保有株数が、実際は約二億八千百万株(全体の約65%)だったにもかかわらず、約一億八千七百万株(同約43%)と偽り、重要事項について虚偽の記載をした有価証券報告書を関東財務局に提出した疑い。
堤容疑者は昨年四月、西武鉄道の利益供与事件で同社会長職を退任したが、特捜部は、その後も実質的に支配していたとみて刑事責任を問えると判断した。
さらに堤容疑者はコクド専務(当時)から昨年五月、長年にわたり西武鉄道の有価証券報告書に虚偽記載があるとの報告を受け、業務に関する重要事実を知りながら、虚偽記載の公表前に株を売却することを計画。同年九月、取引先十社にコクドが保有する西武鉄道株約千八百万株を計約二百十六億円で売却した。
特捜部は、市場外取引でも重要事実の公表前に株を売却していることから、インサイダー取引が成立すると判断した。堤容疑者はグループ役員らにも株の売却を指示。全体では七十社と二個人に五千万株以上を総額約六百五十億円で売却した。
堤容疑者は昨年十月、記者会見を開いて虚偽記載の事実を公表、コクド会長や日本オリンピック委員会(JOC)名誉会長など一切の役職を辞任した。特捜部は証券取引等監視委員会と連携して捜査を進め、今年一月から退任を含めたグループ役員から一斉聴取。先月二十二日からは堤容疑者から数回、任意で聴取。同容疑者は大筋で容疑を認めていた。
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堤容疑者は西武グループ創業者の堤康次郎元衆院議長の三男。一九五七年、早稲田大学商学部を卒業し、コクド前身の国土計画興業に入社。六五年、社長に就任。グループ最高権力者の座に。
康次郎氏が戦前から全国で買収した莫大(ばくだい)な土地の含み益を背景に、ホテルやレジャー事業を次々と展開。八七年には米経済誌「フォーブス」に「世界一の資産家」と紹介。七八年に西武ライオンズを発足させ、九八年開催の長野五輪招致では立役者といわれた。八九年には日本オリンピック委員会(JOC)初代会長に就任した。
■厳粛に受け止める
西武鉄道・石橋正男副社長の話 強制捜査を受けましたことを厳粛に受け止めております。株主、お客さま、社会の皆さまに深くおわび申し上げます。捜査には全面的に協力させていただくとともに、経営改革を推進し、一日も早く、社会から信頼される会社に生まれ変わるべく全力をあげて取り組みます。
■事態、深くおわび
コクド・大野俊幸社長の話 強制捜査を受けたことを厳粛に受け止めています。このような事態になったことは誠に申し訳なく、深くおわびします。捜査に全面的に協力するとともに、一日も早く透明性の高い企業に生まれ変わるべく全力をあげて取り組む所存です。
◆メモ 証券取引法166条(会社関係者による内部者取引の禁止)
役員や大株主などで、上場会社の業務などに関する重要事実を知った者は、公表された後でなければ有価証券の売買などをしてはならない。違反した者は3年以下の懲役か300万円以下の罰金。
同197条(虚偽報告書の提出) 有価証券報告書などの届出書類の重要な事項に虚偽の記載のあるものを提出した者は、5年以下の懲役か500万円以下の罰金。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050303/eve_____sya_____006.shtml