2005年02月24日(木) 16時25分
胃ろう挿管ミス多発:背景に医師の連携不足、総合的なケア必要 /千葉(毎日新聞)
◇情報一元化の取り組みも
胃ろうによる栄養管理法で死亡事故が多発している問題で、胃ろう設置と流動食用チューブ交換をする医師が異なるという、医療現場の縦割りの弊害を指摘する声が、医療関係者から上がっている。こうした中、胃ろうに関するトータルなケアをする病院や、高齢者などの在宅医療の分野で、医師同士が連携する取り組みも出始めている。
02年に死亡事故が起きた船橋市立医療センターで、脳障害で入院中の女性(当時24歳)に胃ろうを設置したのは消化器内科医だったが、チューブ交換でミスした脳神経外科医と、医療チーム責任者の2人が業務上過失致死容疑で書類送検された。同センターによると、この2人は「胃ろうを設置した経験はほとんどない」という。
亀田総合病院(鴨川市)でも、胃ろうを設置する執刀医と、管理する主治医は別々だ。しかし、「責任の所在が不明確になりやすい」という考えから、00年からは、胃ろうに関する情報の一元化に取り組んだ。胃ろう設置やチューブの交換時期、チューブのタイプなど書いた患者ごとのカードを製作し、退院後を含めた長期的な管理ができるようにした。患者の転院先などからの問い合わせに対応するため、専門相談窓口も設置した。
東京都保健医療公社大久保病院(東京都新宿区)は、在宅医療を行う開業医らと連携し、チューブ交換のサポートシステムを運営している。在宅患者は、主治医(開業医)以外にも、同院外来や同院の医師の往診などから、交換の場所と管理者を選ぶことができる。
同院外科医長で、胃ろう外来担当の丸山道生医師は「胃ろうが設置されるのは重症患者や老人が多く、動かすだけで大変。しかも、在宅で交換する場合は、設備などの面からチューブが正確に入っているかの確認が難しい。在宅でも安全に交換できる器具の開発が求められる」と話す。【中川紗矢子】
2月24日朝刊
(毎日新聞) - 2月24日16時25分更新
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