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2005年02月09日(水) 18時00分

「ニセ学位」対策に米教育省がデータベースを作成WIRED

 オンライン学習の利用を検討している人に役立つ新たなツールが登場した。昇格に有利に働く修士号を取得できるか、逆にクビにされかねない学位をつかんでしまうかが見分けられるようになったのだ。

 米教育省は1日(米国時間)、連邦政府公認の機関から認可を受けているすべての教育機関の名称、所在地、在籍する学生の数などを網羅した http://www.ope.ed.gov/accreditation/ オンライン・データベースを立ち上げた。

 教育省のサリー・ストループ次官補は、このデータベースを「現在、一大産業となりつつあるディプロマ・ミル(卒業証書製造所)と戦うための重要なツール」と位置づけている。「ディプロマ・ミルは、疑うことを知らない消費者や雇用主を騙し、虚偽の学位を授けている」

 今回のデータベースは、連邦議会からの要請を受けて作成された。 http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20040527202.html 政府の上級職員の中にも疑わしい学位を持つ者がいることが明らかになった(日本語版記事)うえ、こうしたディプロマ・ミルがインターネットを利用して学位の取得を志す人たちを騙していることを問題視する意見が高まったため、2004年に議会は対策を要請していた。

 教育省の広報官は次のように述べている。「インターネットがこの手の学校の急増を助けているため、学位に関する問題は明らかに深刻化している。教育省にはディプロマ・ミルを閉鎖させる直接的な手段はないが、どの学校が認可を受け、どの学校が受けていないのかを知ってもらいたいと考えたのだ」

 このリストは認可を受けた教育機関だけを記しているので、学位を取りたいと考える人たちや、従業員の採用を検討している雇用主にとっては、便利なツールになるだろう。たとえば、ワイオミング州にあるディプロマ・ミルの http://www.hamilton-university.edu/index2_h.html ハミルトン大学と、ニューヨーク州にある小規模ながら一流の教育機関で、正式に認可を受けている文系大学の http://www.hamilton.edu/ ハミルトン・カレッジとの区別もつけられるわけだ。

 また、学校のウェブサイトを見てその学校を評価してしまいがちな人にとっては、こうしたデータベースは大いに価値があるだろう。

 たとえば、カンザス州立大学の http://www.dce.ksu.edu/dce/distance/ デジタル学習プログラム向けウェブサイトは、まるで1998年にデザインして以来放りっぱなしのように見える。これに対し、 http://www.almedacollege.org/index.shtml アルメダ大学と称するウェブサイトは、マウスをかざすと出てくるドロップダウン式のメニューや、オンラインチャット機能などを備えている。

 だが、カンザス州立大学のオンライン教育は正式認可されているのに対し、アルメダ大学の方は政府承認機関による認可を受けておらず、人生経験に基づいて学位を授与している。

 正規の認可を受けたオンライン通信教育とそうでないものの区別は、教育機関への免許交付や認定の手続きの複雑さによっていっそう困難になっている。

 米国では連邦政府自体が、教育機関に直接認可を与えることはない。政府は、地域ごとの、あるいは全米にまたがる学校評価機関を公認するだけだ。

 だが、州によっては、教育機関に直接免許を交付しているところもある。たとえば、ワイオミング州はハミルトン大学を認可している。

 しかし、ハミルトン大学から取得した学位をワイオミング州以外——オレゴン州、ニュージャージー州、ノースダコタ州など——で就職に利用すると、詐欺の罪に問われ、投獄される可能性がある。

 米ゲットエデュケーテッド・コム社のビッキー・フィリップス最高経営責任者(CEO)によると、複数の基準や規則が複雑にからみあっているため、この制度に混乱している人は多く、とくに家族の中で初めて大学に通うことになった人にはその傾向が強いという。同社のオンライン学習情報サイト『 http://geteducated.com ゲットエデュケーテッド・コム』では、混乱している人々のために、ディプロマ・ミルに対抗する『 http://geteducated.com/DiplomaMillPolice.htm ディプロマ・ミル・ポリス』サービスを無料で提供している。

 フィリップスCEOは、教育省による新たなデータベースは役に立つ場合もあるとしながらも、問題の大きさを考えると今回の政府の対応は不十分だと考えている。

 「政府は認定済みの大学のリストを発表したことで問題解決が図れると主張するかもしれないが、それは表面的な解決法に過ぎない。消費者に、このリストのどこかに載っている教育機関から学位がもらえれば問題ないという、誤った安心感を与えるぶん、かえって危険とも言えるからだ。『トリニティ・カレッジ』を名乗る学校も複数あるし、カリフォルニア大学バークレー校ではなく、『バークレー大学』かもしれないからだ」とフィリップスCEOは懸念する。

 「普通はそこまでちゃんと確かめたりはしない。それに、ディプロマ・ミルの側も、このデータベースの存在をもう知っている」とフィリップスCEO。

 上院行政問題委員会の委員長を務めるスーザン・コリンズ上院議員(共和党、メイン州選出)は、教育省の作成した学位詐欺防止データベースを歓迎している。同議員は昨年の1月に、こうしたデータベースの構築を要請していた。

 コリンズ議員は、書面の声明の中で「ディプロマ・ミルは役に立たない学位を授与して学生の授業料を騙し取るだけでなく、こうした虚偽の学位を持つ人物を雇う可能性のある連邦政府や企業をも欺いていることは、調査から明らかだ」と述べている。

[日本語版:長谷 睦/高森郁哉]

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(WIRED) - 2月9日18時0分更新

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