2005年02月08日(火) 02時46分
葬儀トラブル防止へ 公取委、取引実態初の調査 指針策定を視野(産経新聞)
公正取引委員会は、葬儀業の取引実態調査に乗り出した。高齢化社会の到来で葬儀市場の規模が拡大するなか、業者間の競争も激しくなっている。親族を亡くした直後の短時間で結ぶ高額契約だけに、公取委は価格やサービスの表示方法に関する指針策定も視野にトラブルの防止を図る。
日本消費者協会が平成十五年に行ったアンケートによると、葬儀一式費用の全国平均は百五十万円。ただ、これ以外にも通夜からの飲食接待費用が三十八万円、お経や戒名などの寺院費用が四十八万円かかっていた。車に並ぶ大きな支出となるが、葬儀費用をどれぐらいにするかは「親族の意見」(25・4%)、「社会的地位」(22・7%)、「葬儀社の助言」(22・7%)と、よく吟味して決めているとはいえないのが実情。
公取委によると、葬儀などを含めて「一式いくら」とするパッケージ契約をしながら予想以上の参列者があって香典返しや飲食料が追加請求されたり、生前に葬儀費用を積み立てる「互助会」を中途退会しても返金されないなどのトラブルも目立っているという。
このため、公取委は把握可能な約四千の事業者や、消費者にアンケートし、見積もりの提示などが行われているかを調査。また、霊柩(れいきゆう)運送や生花などの納入業者からも、葬儀業者が優越的な地位を乱用して不当な値引きやマージンを要求していないかを調べる。今年六月にも結果を取りまとめるという。
経済産業省の特定サービス産業実態調査(十四年)によると、全国の葬儀業者は四千百九十四事業所で取扱件数は六十二万六千二百九十件、売上高は七千八百七億円だった。葬儀業には許認可や監督官庁への届け出義務がないため、さまざまなサービス業者が参入機会をうかがっている。
全日本葬祭業協同組合連合会の勝見暘一専務理事は「地域密着の産業だったが、ここ数年で業者の顔が見えないネット広告が登場し、値引き合戦で苦情も増えている」とし、公取委による初の取引実態調査が「悪質業者の排除につながる」と期待している。
(産経新聞) - 2月8日2時46分更新
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