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広く普及しているワープロソフト「一太郎」と、グラフィックソフト「花子」について、松下電器産業(大阪府門真市)が「自社の特許権を侵害している」として、両ソフトを開発・販売した「ジャストシステム」(徳島市)と争った訴訟の判決が1日、東京地裁であった。高部真規子裁判長は松下側の請求通り、両ソフトの製造・販売を禁止し、製品の廃棄を命じる判決を言い渡した。松下側が求めた、判決の効力をすぐに及ぼす仮執行宣言は「相当でない」として付けなかった。ジャストシステム側は控訴する方針。
著名なソフトについて特許権侵害を理由に販売禁止などを命じた判決は異例。これまで発売された14バージョンのうち7番目のバージョン以降が対象となる。ジャストシステム側が控訴すれば判決の効力はすぐには生じない。また、訴訟は製造・販売の禁止などをめぐるもので、裁判の結果にかかわらず、すでに企業や家庭で使われているソフトは引き続き使える。
特許権侵害が争われたのは、パソコンに表示させたソフトの画面上で、マウスの絵と「?」マークを組み合わせた「ヘルプモード」ボタンと呼ばれるマークを押した(クリックした)後、別の機能を実行するためのボタンを押すとその機能の説明が表示される仕組み。
例えば「ヘルプモード」ボタンの後、「印刷」ボタンを押せば印刷機能の説明が表示される。簡単な操作で、機能の説明を受けることができる利点がある。
裁判では(1)松下の特許は有効か(2)ヘルプモードや印刷のボタンは松下が特許を取った際の説明にある「アイコン」にあたるのか——が主な争点になった。
ジャストシステム側は(1)松下が特許を出願した当時、キーボードの操作で同様に説明を表示させる技術などがあり、松下の発明はそれらを組み合わせることで簡単に着想できた(2)「アイコン」は移動ができ、デスクトップ上にあるものを指し、一太郎や花子の画面上のボタンはアイコンにあたらない——と主張した。
しかし、判決は「松下の特許はそれまでの技術とは質的な違いがあり、容易に思い至る内容とは言えない」と指摘。アイコンは「表示画面上に各種データや処理機能を絵や絵文字として表示し、コマンド(指示、命令)を処理するもの」で、移動可能だったりデスクトップにあったりする必要はないとして、ジャストシステムの主張を退けて特許権侵害を認定した。
松下側によると、それまでキーボードを押すことで呼び出していたヘルプ機能を、画面上のアイコンをクリックして呼び出す技術を開発。89年に特許を出願、98年に登録された。ジャストシステムにライセンス料の支払いを求めたが断られ、昨年8月に提訴した。
ジャストシステムは記者会見し、「納得できない」と判決を批判する一方、「控訴するので判決に効力は生じない。安心して使ってほしい」と呼びかけた。当初の予定通り、両ソフトの最新版を10日に発売するという。
松下電器産業は「当社の主張が認められたものと考える。今後の展開を見守っていきたい」との談話を出した。
(02/01 22:22)