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2005年01月31日(月) 02時49分

スキミング 暴力団の新たな資金源 カード偽造事件、被害金流れた?産経新聞

犯行グループ 口座に残金ほとんどなし
 スキミングによるキャッシュカード偽造事件で、被害金額は最終的に十億円を超えるとみられているが、窃盗などの疑いで逮捕された犯行グループ十一人の銀行口座などには、現金がほとんど残されていないことが三十日、警視庁捜査三課などの調べで分かった。被害金額は確認されているだけで三億円に上り、暴力団に流れた可能性が高いという。犯行グループの背後で、暴力団がスキミングによるキャッシュカードの偽造を新たな資金源としていたことが浮かんできた。
≪被害金の行方≫
 調べによると、群馬県富岡市の「レイクウッドゴルフクラブ富岡コース」元支配人、遠山秀樹容疑者(51)の口座には、リーダー格とみられる藤原高広容疑者(33)から毎月数十万円、総額数百万円が振り込まれ、スキミング役には、一回の犯行につき二万円とゴルフ場でのプレー代が払われていた。引き出された被害金の大部分は、藤原容疑者が手にし、グループ内部では、取り分をめぐって不満が出ていたという。
 しかし、藤原容疑者に流れたはずの被害金のその後の行方は、はっきりしない部分が多い。藤原容疑者は逮捕前、東京の銀座や六本木などで頻繁に豪遊する姿が確認されたが、「この程度で被害金を使いきったとは思えない」(捜査関係者)という。藤原容疑者の口座には約一千万円しか残されていなかった。
 一方、藤原容疑者は暴力団関係者の口座へ、定期的に送金を繰り返しており、その額は合計数千万円にのぼる。同課などでは、そのほかの被害金も、暴力団の資金源として流れていた可能性があるとみている。
≪手軽に入手≫
 「つい先日も、片言の日本語で『スキマーありますか』と聞いてくる男がいたよ」
 日本最大の電気街、東京・秋葉原。中古品の電気部品などを数多く扱っているジャンクショップの店主によると、昨年あたりからスキマーに関して聞かれることが多くなったという。
 昨年末には、スキマーを一個三万円弱の価格で通信販売する会社が現れるなど、ある程度の知識やルートがなければ手に入らなかったスキマーも容易に入手できるようになりつつある。
 さらに、スキミングされた磁気情報は、別の場所で盗まれたクレジットカードに情報が転写される。盗まれたカードに盗難届が出され、名義人の預貯金が引き出せなくなっても、新たな磁気情報を転写すれば、磁気情報の名義人の口座から現金を引き出すことができる。今回使われた盗難カードは飲食店などで、客の上着に入った財布をすりとる「ブランコすり」と呼ばれる、最近、中国人すり団がよく使っている手口で盗まれたものだ。
≪組織犯罪の影≫
 こうしてできあがった偽造カードは、東京や神奈川、千葉、埼玉などの関東圏や、宮城、静岡、大阪、京都、広島の各府県の現金自動預払機(ATM)で被害金を引き出すのに使われた。引き出し役として動いたのは、主に中国人だった。
 中国人の現金引き出し役と中国人すり団。そして今回の犯行グループ。同課では藤原容疑者を接点として、暴力団が背後に介在し、中国人とのつながりを持ちながら犯行に及んでいた可能性が高いとみている。
 最近は「振り込め詐欺」や一万円札偽造事件など、あらゆる分野の犯罪で暴力団が介在するケースが増加。捜査関係者は「今回の事件も、みかじめ料や債権回収など従来のしのぎが厳しくなった暴力団が、市民生活を広くターゲットにした犯罪などに進出してきた一例とみられる。今後も同様の犯行を十分警戒する必要がある」と指摘している。
(産経新聞) - 1月31日2時49分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050131-00000011-san-soci