2005年01月19日(水) 16時36分
<東京金融先物取引所>「外為証拠金取引」公設市場に (毎日新聞)
東京金融先物取引所(斎藤次郎社長)は19日、外国為替証拠金取引(FX)の公設市場を今夏までに創設する方針を固めた。個人投資家の間で人気が高まる一方、業者と顧客のトラブルも急増しているFX市場の健全化と育成に乗り出す。取次業者の加盟資格を純資産残高30億〜50億円程度と高く設定し、客から預かった証拠金は取引所が管理。売買価格も取引所が複数の外資系銀行の外貨相場から、顧客に最も有利なレートを選んで提示するなど、透明性や顧客保護を徹底する。FX専門の公設市場は世界初。
同取引所のFX公設市場は当初、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルの四つの外貨と円の取引を扱う。最低取引単位は外貨の円建て価格の1万倍で、預かった証拠金の10倍までの取引を基本とする。相場が1ドル=103円の場合、最低取引単位は103万円だが、個人投資家は10分の1の10万3000円の証拠金を納めれば、市場のシステムに接続した加盟業者を通じて、取引に参加できる。加盟業者には、証券会社と同等の自己資本比率を求めるなど、経営体制が整備された業者を同取引所が選定する。
円と米ドルなど外貨の為替レートは、取引所が複数の外資系銀行などから提示された外貨の売値から、買い手の顧客に有利な、一番安い売値を選ぶ。売り注文は逆に外資系銀行などの一番高い買値(顧客から見れば売値)を選ぶ。円と四つの通貨とのそれぞれの価格は日に1回、決める。
独自の市場システムを構築し、原則として毎日24時間体制で取引を受け付ける。投資家は、自宅のパソコンからインターネットで自由に取引できる。日々の為替相場の変動に応じた自らの持ち高や証拠金の残高をリアルタイムで把握できるため、投資リスクの管理が容易になる。
FXには、ブームに目をつけた商品先物業者やネット証券、個人経営業者などが参入し、投資家同士の相対取引を個別に仲介したり、自己売買で取引を裁いている。しかし、昨年末に国会で成立した改正金融先物取引法(今年7月施行)まで法規制がなく、預かった証拠金の不正流用や詐欺的取引などのトラブルが頻発している。【竹川正記、坂井隆之】
【ことば】外国為替証拠金取引(FX) 98年の改正外為法施行に伴い登場した金融商品。業者に委託した証拠金の10〜20倍の額の外貨を売買出来るため、少ない元手で大きな利益が狙える半面、証拠金を上回る損失が発生する危険もあるハイリスク・ハイリターン商品だ。
矢野経済研究所の調査によると、04年3月末の預かり証拠金残高は約2033億円と、過去5年間で約3倍に膨らんだ。200社以上の商品先物会社、証券会社、専業事業者が参入し、悪質業者による金銭トラブルが頻発しており、透明性の高い健全な市場作りが急務になっていた。国民生活センターよると、03年度の相談件数は1399件と前年度の約3.6倍に急増している。
(毎日新聞) - 1月19日16時36分更新
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