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NHKの海老沢勝二会長が6日、任期途中で公共放送のトップの座から退(ひ)くことを示唆した。就任から約7年半。相次ぐ不祥事で最近は視聴者の受信料不払いが多発、NHKは土俵際に追い込まれていた。海老沢会長は記者会見では「予算を歯を食いしばってやっている」と述べ、最後の踏ん張りを強調した。
この日の定例記者会見は、いつもの雰囲気と違った。
今後の事業の計画などが1時間ほど続いた後、記者が進退問題について質問した。この数カ月間、海老沢会長は「辞任の意思は全くありません」と語気を強めて答え、「辞任の時期」への質問は何度もかわしてきた。
それが「任期途中はあり得るのか」との質問に柔和な表情で答えた。
「任期……。それを言ったらまた時期になっちゃうので。時期については差し控えさせていただきたい」
さらに「辞める時期は言いにくいというか、いま言うべきじゃないと言っているんですよ」と語り、初めて「辞める」という言葉を口にした。
ほかの経営陣の進退については「私一人です」と明言した。
会見後、自室に引き揚げる途中で、「今、視聴者に言いたいことは?」との記者側の質問には、「『ともかくNHKを信頼してください』だけです。今はその気持ちで……」と述べた。
○異例の3期。拡大路線
海老沢会長は、NHKの生え抜き会長としては異例の3期という長期政権を誇った。
茨城県出身で早大卒業後の57年、NHKに入局した。政治部記者時代は自民党の主流派を担当し、「辣腕(らつわん)」といわれた。89年に理事になり、91年にNHKエンタープライズ社長に就任。94年にNHK副会長になった。
97年会長に就任してすぐに「在任中は受信料を値上げしない」と明言。放送のデジタル化と経営の安定化に力を入れた。地上波の契約が飽和状態に近い中で、受信料増加の打開策をBS(衛星放送)契約に求めた。
スポーツソフトを前面に押し出す一方で、04年に入って「24時間ニュース専門放送構想」を打ち出し、BSの特色付けに力を入れた。
ソフト戦略はインターネットや携帯電話サービスなどの通信分野にも及び、この拡大路線は民放各社から「民業圧迫」と批判を浴びた。
今回の一連の不祥事には当初、経営責任を取る姿勢を見せなかった。だが、受信料の不払い・保留件数は急増する一方で、批判がやむ気配はなく、辞意を固めたようだ。さらに、NHK最大の看板番組である紅白歌合戦が昨年の大みそか、史上初めて視聴率40%を割った(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。急速なNHK離れが明白になり、追い打ちをかけられた。
〈NHK職員でつくる日本放送労働組合(日放労、約8500人)の岡本直美書記長の話〉 日ごとに受信料不払いは増えているので、海老沢会長は辞める時期を一日も早く視聴者に明らかにするべきだ。きちんとした形で新しいNHKをスタートさせたい。(01/07 03:08)