2005年01月06日(木) 13時18分
ユーザー名開示は慎重に、控訴裁が RIAA の訴えを再び棄却(japan.internet.com)
デジタルミレニアム著作権法(DMCA) の条項を使って、通常の召喚状なしの簡略手続きで違反ユーザー名を開示するよう求めていた音楽業界に対し、連邦控訴裁判所はその訴えを再び棄却した。ピアツーピア (P2P) ファイル交換者に対する法廷闘争を続けている音楽業界だが、簡略手続きの件は2度続けて棄却されたことになる。
セントルイスの第8巡回控訴裁判所およびコロンビア特別区巡回控訴裁判所は4日午後、
全米レコード工業会 (RIAA) に対し、音楽ファイル違法配布の疑いがある人物を提訴する場合、そのユーザー情報開示を ISP に要求する前に、判事が精査し署名した召喚状を使わねばならないとの裁定を下した。
RIAA は2年前、召喚状を使ってユーザー名開示要求を始めているが、その召喚状は書式が間違いがないかを裁判所職員がチェックして発行したに過ぎないものだった。通常の召喚状は、判事の署名および被疑者に対する通告手続きが必要だ。当初連邦地裁は、1998年に成立したデジタルミレニアム著作権法では、申請内容が適切か裁判所職員がチェックするだけで証拠情報の提出を命ずることが可能になっているとした RIAA の主張を認める判決を下した。
RIAAは、地裁の裁定を基に、3000件以上の情報開示請求を ISP に行ない、400件近い著作権侵害訴訟を起こした。これに対して、通信および ISP 大手の
VerizonCommunications と、
高速インターネット接続サービス 提供者でもある全米第3位のケーブル会社
CharterCommunications が
反訴 し、Verizon は2003年12月、コロンビア特別区巡回控訴裁で
勝訴 している。
そして、昨年10月には最高裁も控訴裁判決を支持する
決定 を下していた。今回の控訴裁裁定は、Charter の案件に対するもので、コロンビア特別区巡回控訴裁の裁定を追認するものだ。
しかし RIAA はすでに訴訟方針を変更しており、今回を含めた情報開示請求に関する法廷判断は、著作権侵害に対する取り組みに影を落とすものではないとの立場を取っている。RIAA の広報担当 Jonathan Lamy 氏は、取材に Eメールで回答し、RIAA は2003年12月の控訴裁判決後 DMCA に基づく召喚手続きを行なっていないと述べるとともに、「違反者の提訴に躊躇しない」と記している。
デイリーリサーチバックナンバー、コラム、セミナー情報等はこちらから
http://japan.internet.com/
デイリーでお届けする最新ITニュースメールの御購読申込はこちらから
http://japan.internet.com/mail/newsletters.html (japan.internet.com) - 1月6日13時18分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050106-00000013-inet-sci