2004年12月29日(水) 00時00分
「振り込め詐欺」被害急増 事件この1年③(朝日新聞・)
詐欺が身近にまで迫ってきた年だった。電話口で警察官や家族などを装って、事故の示談金などを払わせる「おれおれ詐欺」。県警によると、県内では今年、11月までに未遂を含めて267件の届けがあり、被害額は2億6500万円と、件数で昨年同期の3倍、被害額は6倍にのぼった。
身近な詐欺被害で多かったのは架空請求で、仙台市消費生活センターには4月から11月までに過去最多の1万2570件の相談が寄せられ、相談全体の8割を占めた。
「有料サイトの利用金」「遅延損害金」など、様々な名目の請求書をはがきや電子メールなどで送りつけ、振り込みを要求。裁判所をかたるところもあった。センターでは、専門相談員だけでは対応しきれず、職員も総出で「相手は脅しのプロだから、無視し、連絡しないのが最善」とのアドバイスを続けた。
「みやぎ被害者支援センター」の大場精子事務局長は「誰もが被害に遭う状況だ。詐欺によって家庭内に疑心暗鬼をもたらすなど影響は大きい」と懸念する。
チラシ配りの内職あっせんと偽り、主婦らから契約金をだまし取っていた仙台のグループが今年2月、県警に逮捕された事件でも、そうした被害実態が浮かび上がった。
「子育てや家事などの空いた時間に配るだけ」「誰にでも簡単にでき、毎月5〜7万円の収入が得られます」−−。
電話口からの甘い誘い文句。被害者の多くは、不況で夫の収入が減るなか、少しでも生活費の足しにしたいと考えた主婦だった。1人あたり約40万円のクレジット契約を結ばされた被害者は、判明分で全国7千人を超す。被害にあった主婦の1人は「いまだに家族に言えず、自分の貯金などを取り崩した」と話した。
電話やパソコンなどを使った安易な詐欺犯罪が広がった。警察庁は、おれおれ詐欺や架空請求など、銀行口座などに金を振り込ませる詐欺を「振り込め詐欺」と名づけ、全国的な取り締まりチームを立ち上げた。
県警の捜査員は話す。「詐欺は人の心を壊す犯罪で、心への暴力だ。かつてのように『だまされる方もだまされる方だ』とは言えない」
(12/29)
http://mytown.asahi.com/miyagi/news02.asp?kiji=6184
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