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産業廃棄物処理業者の情報公開を進め、悪質業者を淘汰(とうた)するため、環境省は05年度から全国一律の評価制度を始める。処理実績や財務諸表などを公開した業者を「優良」と認定し、廃棄物処理を委託する排出企業に参考にしてもらうことで、市場の圧力を使って業界の取り組みを促す狙いだ。05年1月から国民一般の意見を募り、同4月の省令改正を目指す。
資本金や過去3年分の財務諸表、組織図など経営関係の情報をはじめ、処理に関する施設能力や過去1年分の実績、外部委託分も含む処理工程、ダイオキシンなどの検出結果を公開させる。
公開は、自社のホームページか産業廃棄物処理事業振興財団の情報ネットで行い、処理業の許可事務を担う都道府県が公開情報を審査し、基準に合っていれば「優良」と認定する。優良業者には許可更新審査の手続きが簡略になるなどの、優遇措置も取り入れる。
全国の産廃排出量は年間約4億トン。環境省の推計で、03年4月時点で全国に1096万トン分の不法投棄産廃が残されている。産廃処理業者数は全国約5万6000社、市場規模は6兆円強と推定されるが、警察庁のまとめでは、産廃不法投棄による検挙件数(排出企業も含む)も02年で682件あり、業界の浄化が課題となっている。
環境省は02年に処理業者の格付け制度のモデルを示し、自治体や民間への導入を促したが、これまでに制度が始まったのは、国内最大規模の不法投棄が発覚した岩手県だけ。優良業者と格付けした後で不法投棄などで摘発されれば自治体の責任が問われるうえ、産廃は広域を移動するため、地元の業者を格付けするだけでは抜本策にならない、などの理由からだ。
このため環境省は、情報公開で淘汰を促す方が得策と判断。全国産業廃棄物連合会や建設業界団体、処理業者などが参加する優良化推進委員会を設け、具体的な公表基準を検討してきた。内部には反対意見もあったが、最終的には、業界が社会的認知を得るために必要と判断したという。
同委員会の北村喜宣委員長(上智大教授)は「より適正な処理をする業者を育てると同時に、排出企業の『どこが信頼できる業者かわからない』という言い訳を封じる効果もある」と話す。(12/26 04:01)