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2004年12月22日(水) 16時59分

院生殺害と捜査不手際の因果関係認定、県にも賠償命令読売新聞

 神戸市西区の神戸商船大(現・神戸大)大学院生、浦中邦彰さん(当時27歳)が2002年3月、暴力団組長らに拉致され、殺害された事件で、母親(64)が「適切な捜査をすれば死亡しなかった」として、兵庫県(県警)と組長らに計約1億3700万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が22日、神戸地裁であった。

 村岡泰行裁判長は「組長らが浦中さんに対する暴行をエスカレートさせた背景には、警察官らの組織的な対応のつたなさ、暴力団に対する不適切な対応が大きく影響している」として、殺人事件と捜査の不作為との因果関係を全国で初めて認定し、県や組長らに慰謝料や逸失利益など9736万円の賠償を支払うよう命じた。

 判決によると、浦中さんは同年3月4日午前3時10分ごろ、神戸市西区伊川谷町有瀬の県営住宅前で、暴力団組長らと駐車トラブルとなった。

 同19分、匿名女性から神戸西署に通報があったほか、20分過ぎには浦中さんが携帯電話で「やくざのおっちゃんが暴れている。からまれていきなり殴られた」などと110番したが、浦中さんは加勢に来た他の組員の車で拉致され、執ような暴行を受けた末、同区内の河原に放置され、殺害された。

 これまでの弁論で、母親側は▽神戸西署員の現場到着が、最初の通報から約17分後と著しく遅れている▽組員への職務質問を途中で断念した▽邦彰さんが組員の車に連れ込まれていたのに、車内を十分調べなかった——などの捜査の過失があったと主張。

 判決では、原告側のこうした主張を認めたうえで、「警察官が、浦中さんが暴力団である加害者らに連れ去られることによって、さらなる暴行を受け、その結果、死に至ることも十分予見し得た」とし、警察の権限不行使と浦中さんの死亡との間に因果関係が認められると、結論付けた。
(読売新聞) - 12月22日16時59分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041222-00000011-yom-soci