2004年12月21日(火) 14時39分
コスタリカODAで架空領収書、5万ドル流用隠す(読売新聞)
中米コスタリカへの政府開発援助(ODA)をめぐる使途不明金疑惑で、事業を請け負った日本の大手コンサルタントが、現地の政府機関に支払うべき約5万ドル(約500万円)分について架空の領収書を作り、他への流用を隠していたことが21日、国際協力機構(JICA)の調べで分かった。
事態を重視したJICAでは、同社に対し、流用分を含めた使途不明金約17万ドル(約1800万円)全額の返還を求めるとともに、指名停止6か月の追加処分を決めた。
6か月もの指名停止の追加処分や事業費の返還は極めて異例の措置で、JICAでは刑事告発も視野に、さらに調査を進める。
このODA事業は、コスタリカ北西部の農業開発調査を行うもので、海外コンサルタント業務では国内最大手の「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」(東京都多摩市)が共同企業体を組み、2000年10月に4億2300万円で受注。同社は業務の一部をコスタリカの政府機関「国土地理院」に約23万1000ドル(約2400万円)で下請け発注したが、代金の多くは同機関の口座に振り込まれず、20万ドル前後が使途不明になっていた。
このため、JICAが幹部職員を現地に派遣するなどして調べた結果、コスタリカの国土地理院の口座に入金されていたのは5万8000ドルで、使途不明金は17万3000ドルであることが判明。さらに、PCIが架空の人物のサインを使った領収書を作成していたこともわかった。
指摘を受けた同社は「4万9000ドルは国土地理院に支払っていなかった」と、流用の事実を認めたうえ、「自ら行った現地調査などでの車両代やセミナー代に使った」としているが、それを裏付ける会計資料などは存在していない。他の使途不明金についても、同社が会計資料を破棄したことなどから、依然として行方は分かっていないという。
この問題については、コスタリカの司法当局も国土地理院に対する捜査を続けており、JICAでは、その捜査状況を見ながら、刑事告発なども検討していくとしている。
JICAはすでに、委託料の支払い経緯に問題があったとして同社を9月15日から2か月間の指名停止処分にしているが、今回は、不正行為を行ったことを理由に追加処分した。
(読売新聞) - 12月21日14時39分更新
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