2004年12月21日(火) 15時03分
<ネットカフェ>中国人向け店舗急増 犯罪集団の接触拠点に(毎日新聞)
入場料だけで自由にパソコンを利用できるインターネットカフェ、最近は中国人向けネットカフェも急増し、中国人犯罪グループが仲間を集める場となるケースが目立つ……警視庁組織犯罪対策2課が今月にかけて摘発した中国人強盗グループも、ネットカフェで知り合った。互いに通称名しか知らず、事件だけで結び付いた希薄な関係で、共犯関係の捜査などに新たな壁となっている。
住所不定、無職、陳海龍容疑者(23)は今月、強盗容疑で逮捕された。7月6日未明、計6人で東京都墨田区石原3の飲食店に押し入り、中国籍の男性経営者らにモデルガンを突きつけ現金11万4000円などを奪った疑いだ。この事件では、他に中国籍の4人が既に起訴されたが、残る1人は逃走したままだ。
これまで中国人犯罪グループは出身地ごとにまとまる傾向にあったが、逮捕・起訴された5人の出身地はばらばら。住居、学校、アルバイト先にも接点はない。新宿区内のネットカフェで知り合い、事件当日に初めて会ったメンバーもいた。
駅近くのビル5階にあるこのネットカフェは、昼も窓にカーテンが引かれ薄暗い。つい立てで仕切られた約100台のパソコン。若者たちがリクライニングシートに座り、ヘッドホンを付けて画面を見つめる。店員は言う。「ここはOS(基本ソフト)中国語だけ。あなた珍しい。日本人来たことない」。1時間300円。長時間利用は割安で、1000円で15時間利用することができる。
日本のアイドルの画像に見入る20代男性。別の男性はトランプゲームに夢中だ。昨年7月に来日、日本語学校に通う女性(24)は「日本にはあまり友達もいないし、ついつい長時間過ごしてしまう」と話す。大学2年の男性(25)は「働きもせず学校にも通っていない若者が多いのでは。中国語が恋しくて来ているのだろう」と言う。
起訴された一人は、貿易の仕事に就こうと来日したが、大学の授業についていけず1カ月で断念。アルバイトをしながら、ネットカフェでゲームばかりしていた。別の男は「せっかく親がブローカーに150万円渡して日本に来たのに、申し訳ない」と供述している。
同課によると、都内の中国人向けネットカフェは3年ほど前に初めて出店され、いまは約50店舗に増えた。都内のネットカフェが犯罪グループの出会いの場と確認された最初の事件は、02年4月に文京区で起きた飲食店強盗事件。昨年6月の福岡市の一家4人殺害事件で逮捕された中国人グループも、一部はネットカフェで知り合っていた。
寝泊まりもでき、日本人が入りにくい閉鎖性は、犯罪グループの格好の拠点ともなる。同課幹部は「同郷人でグループを作る従来の犯罪と比べ、共犯者の割り出しが難しくなっている」と話す。【長谷川豊、川上晃弘】
(毎日新聞) - 12月21日15時3分更新
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