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NHKの一連の不祥事やその対応への批判に答える特集番組「NHKに言いたい」が、19日午後9時から、総合テレビで生放送された。海老沢勝二会長(70)は「信頼を損なったことを改めて深くおわび申し上げます。(番組に寄せられた)意見や提言は再発防止、信頼回復に生かしたい」と述べた。議論に参加した有識者からは海老沢会長の進退を問う声が相次いだが、同会長は「会長の職に恋々としているわけではないが、まだ志半ば。再発防止と信頼回復を軌道に乗せた時点で、私自身が判断する」と語った。
番組は経済評論家の田中直毅さんが司会した。出演は、経済同友会代表幹事の北城恪太郎さん、番組制作会社「テレビマンユニオン」副会長の今野勉さん、連合会長の笹森清さん、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん、雪印乳業社外取締役で前全国消費者団体連絡会事務局長の日和佐信子さん、中央大学教授でNHK経営委員の堀部政男さん。
鳥越氏らからは「NHK経営者としての責任の問題」「隠蔽(いんぺい)体質、事後処理がNHKを象徴している」「自浄作用に欠けている」といった厳しい意見が続いた。海老沢会長は「管理体制のお粗末さはあった。放送人としての倫理観が欠けていた。受信料が公金という意識も欠如していた」などと話した。
番組では、街の声をビデオで紹介し、視聴者から寄せられた意見を画面下部でテロップで流した。「大きな不祥事では組織のトップが責任を取るのが社会の常識。国民は納得しない」「3年間も不祥事が表面化しないのは組織的隠蔽があったからではないか」「いわば公金の受信料が一個人の遊びに使われたのはNHKの体質の問題。チェックを第三者に任せるべきだ」「国会での会長の参考人招致を生中継しなかった。NHKは国民の立場に立っていない」などの声があった。
スタジオには100台の電話、40台のファクスを設置。135人の職員で対応した。番組終了までに寄せられた意見は電話、ファクス、メールを合わせて2万7000件を超えた。
海老沢会長は、参考人招致された衆院総務委員会をNHKが生中継しなかったことを自分で判断したと説明。「視聴者に分かりやすく伝えた方がいいと1時間枠にまとめて放送した。しかし今から思えばやっておけば良かったと思う」と話した。当時、「編集権の問題」と語ったことについては「失言的な発言だった」と釈明した。
受信料の不払いと保留件数が急増していることには「残念で、(支払っている方には)不公平になるので申し訳ない」と述べた。これに対し、笹森氏は「ひとごとのように聞こえる。不信は経営姿勢に向けられている」と批判した。
最高意思決定機関で会長を任命・罷免する権限をもつ「経営委員会」についても、鳥越氏らは「機能しているように見えない」と指摘した。
NHKは元プロデューサー逮捕時に、放送日未定ながら生番組の制作を発表。7日の経営委では、NHKに批判的な有識者も出演させるよう要望されていたが、人選は難航した。出演者は17日まで決まらず、番組内容は放送直前まで固まらなかった。
海老沢会長は生え抜きのNHK職員で、97年7月に川口幹夫前会長の後任として副会長ポストから就任した。03年7月から、異例の3期目に入っている。任期満了は06年7月。
〈NHKの不祥事〉 7月に元チーフプロデューサーの番組制作費着服が発覚、その後も元ソウル支局長の不適切な経理処理やプロデューサーのカラ出張、職員の受信料着服が次々と明らかになった。これらについて海老沢会長が参考人として出席した9月の衆院総務委員会を、NHKが生中継しなかったことに批判が集中。9月末で3万1000件だった受信料支払い拒否・保留件数は、11月末には11万3000件に急増した。元チーフプロデューサーは12月4日に警視庁に詐欺の疑いで逮捕された。(12/20 01:02)