2004年12月20日(月) 13時04分
NHK不払い拍車、海老沢居直り…生出演逆効果(夕刊フジ)
一連の不祥事を受け、19日夜、生放送の特番に臨んだNHKの海老沢勝二会長(70)。注目の進退問題について、海老沢会長は「改革を軌道に乗せた時点で、判断し、決断したい」と辞任を示唆したが、当面は続投する意思を強調した。経営トップの居直り体質に、視聴者の怒りは頂点に達している。会長の独裁体制を図らずも露呈しただけの番組で、受信料の不払いが加速するのは必至。「2月辞任説」が現実味を帯びてきた。
【居直り】
「当面はこの厳しい状況で、職員の先頭に立って難局を乗り越えたい」。19日夜の緊急生番組『NHKに言いたい』で、海老沢会長は集中砲火を浴びている進退問題について、こう居直った。
これに、出席者からは「NHKは風通しが悪い」(ジャーナリストの鳥越俊太郎氏)、「改革は今の経営陣では難しい」(連合の笹森清会長)と厳しい声が相次いだ。
放送中には視聴者からの電話、ファックス、メールでの意見も受けつけたが、その数は実に2万7466件。退陣を求める意見が多く、「番組で辞任表明がなければ、受信料支払いを拒否する」という通告もあった。
だが、海老沢会長は「まだ志半ば、道半ばの状態。信頼回復と再発防止のための努力を苦しいなかでやるのが私の責務」と開き直ったのだ。
【不払い急増か】
こんな空虚な弁明の数々に、納得した視聴者がどれだけいたのか。
7年超にも及んで独裁体制を築いてきた海老沢会長の姿勢に、同局で会長と同期だった椙山女学園大の川崎泰資教授は「『NHKに言いたい』というより『海老沢会長は言いたい』という番組だった。パネラーは辞任を前提として討論しているのに、会長はまったく聞く耳を持たない。NHK史上空前絶後の一大汚点を残した番組となった」と切り捨てる。
作家の麻生千晶さんも「会長が言う言葉は『出直す』『深刻に受け止める』など全部同じ。視聴者は会長が辞めないことに怒っているのに、全くわかっていない。皮肉を言えば、会長の頭の中が視聴者によく分かり、かえっていい番組だったのでは」と手厳しい。
NHKの経営の根幹を支える受信料支払いの拒否・保留件数は11月末で、11万3000件。番組終了直前、鳥越氏は「この番組を見て、受信料を不払いがさらに増えるんじゃないかと危惧する」と言い残したが、今後、不払いが殺到するのは必至なのだ。
【予算否決?!】
こうしたなか、NHK経営陣が今、最も恐れることがある。
受信料収入が9割を超え、国民に支えられている同局の予算の審議だ。予算は放送法37条で国会の承認を得ることが義務付けられ、国会の承認がなければNHKは予算を執行できない。
毎年、3月に審議され、海老沢会長も国会に出席し、答弁にあたり、全会一致で国会承認が行われるのが通例だ。
だが、民主党「次の内閣」総務副大臣の中村哲治氏は「今年は反対する可能性も十分ある」と話す。民主党が反対しても与党の賛成多数で承認される可能性は高いが、審議の紛糾は必至。
【2月辞任説】
そこで政界とNHKの間で囁かれる「ウルトラC」が、予算承認と引き換えの海老沢会長の辞任説である。
民主党関係者は「会長とすれば、紅白歌合戦で高視聴率を得て、予算審議に臨むのがベストのシナリオ。しかし、コトがうまく運ばなかった場合、審議は厳しいものになる。『会長辞任』はそのときの最後の切り札なのです」と打ち明ける。
自民党議員も「党としても、何もなかったかのように予算を承認すれば、批判の矛先がこちらに向いてしまう。そうなる前にケジメをつけてくれれば…」と漏らす。
いずれにせよ、“皆さまのNHK”は、会長が国民にソッポを向いたことで、最大危機に直面している。
【視聴率6.5%】
「NHKに言いたい」は19日午後9時から2時間15分にわたって放送され、平均視聴率は6.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。
午後9時からの枠ではTBS「夫婦。」が18.1%、日テレ「行列のできる法律相談所」が17.9%、フジ「発掘!あるある大事典2」が14.6%の高視聴率だった。
(夕刊フジ) - 12月20日13時4分更新
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