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■勧誘3時間、帰りにくくて署名
きっかけは今年の夏に「良い美容院がある」と知人女性に誘われたことだった。
料金が安く、店長も話しやすい人だった。二回目に行ったとき、カット中の雑談で店長はある女性の話をした。「今までにないタイプのすてきな女性がいる」という内容だったが、脈絡がなく、なぜそんな話をするのか分からなかったという。
三回目に行くと、エステの話をされた。美容院を紹介してくれた知人女性も通っているという。「すてきな女性」はエステで働いている人で、「エステを受ける必要はないから、この女性に会って友人になりなさい」と言われた。その夜、この女性から電話がかかってきて「今、お試し期間中だから一度おいで」と誘われ、行く約束をした。
数日後、この女性と名古屋駅前で待ち合わせてサロンへ。「エステをやってもらってすぐ帰るつもりだった」が、まずアンケートに記入させられ、エステではなく化粧品の説明が始まった。
ビデオなどを使いながら「普通に売っている化粧品は悪い材料でできている」などと説明され、「うちの化粧品は天然素材でできていて質が良い」という。
説明が終わり、ようやくエステをする部屋に通された。先だって、エステできれいになったという女性の写真を見せられ、その後、美顔エステをしてもらった。
「ようやく帰ることができる」と思っていたら、将来シミになる場所が分かるという装置で自分の顔を見せられた。「シミだらけですごく汚く、機嫌が悪くなるほどだった」という。強引にでも帰りたかったが、化粧を落とされており外に出られなかった。
その後、「服を買うより、自分の肌にお金を使った方が良い」「月一万円の支払いでできる」などと言われ、契約を促された。化粧品のセットや二十四回の美顔エステで約五十万円。ローンの手数料を入れると七十万円弱になった。「高い」と思ったが、すでに三時間以上も経過しており、「月一万円なら」と、何枚かあった書類に署名してしまった。クーリングオフについての説明を聞いた覚えはないという。
後悔の気持ちと、後ろめたさもあり、親には内証にしておいた。
その後、エステには三回通った。三回目のとき「友人を紹介するとお金がもらえる」という話をされ、「自分を紹介した美容室の店長もお金をもらったんだろうか」と思ったという。
自室に置いてあった化粧品を父親が見つけ、高額の契約をしていることを両親に知られてしまった。父親がすぐにエステサロンと交渉した。すでにクーリングオフの期間はすぎていたため、中途解約を選択した。
エステ三回分と使いかけた化粧品の料金として、約七万円を請求された。父親は「人間関係につけ込むようなやり方。“長時間勧誘などにより強要された契約ではないことを確認します”などとする内容の書面にも署名させられており、問題ではないか」と訴える。
本紙の取材申し込みに対し、このエステサロンを経営する会社は「こちらは一切不当な契約はしていないという立場で、解約にも誠意を持って応じている。取材には応じかねる」としている。
■クーリングオフ可能、『解約料』に規制あり
国民生活センターの消費生活相談データベースによると、全国の消費生活センターに寄せられたエステについての相談は、昨年度一万七百六十七件=グラフ参照。二十代の女性だけで六千七百八十一件と全体の63%を占めている。契約・解約に関する相談が九千七百八十九件、販売方法が四千百二十九件(複数回答)だった。
販売方法では、街頭で声を掛けて店舗などに連れ込む「キャッチセールス」が千五百九十七件ともっとも多く、次いで、無料体験などを広告でうたって客を呼び寄せる「無料商法」が千五百九十五件だった。
エステでけがをしたなどの「危害情報」も昨年度は五百二十二件を数え、皮膚障害(三百五件)、熱傷(百九件)の順に多かった。
エステサービスは、特定商取引法で規制され、契約後八日間ならクーリングオフができる。中途解約の場合、「解約料」などとして事業者側から請求できる損害賠償料なども規制され、サービス開始前なら二万円が上限となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20041216/ftu_____kur_____001.shtml