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「頑張ってきてよかった」と声を詰まらせる被告たち。市民団体のメンバーが自衛隊イラク派遣反対のビラを配るため、防衛庁官舎に立ち入った住居侵入事件は16日、3人全員に「無罪」が言い渡された。「政治的表現活動の自由」を重く見た東京地裁八王子支部の判決。被告や支援者が喜ぶ一方、警察・検察は強い不満をにじませ、識者らの評価も分かれた。
「被告人らは、いずれも無罪」。約1時間におよぶ判決理由読み上げの後、主文が言い渡されると、満員の傍聴席から「やったー」という叫びと大きな拍手が起こった。長谷川憲一裁判長が「退廷させますよ」と制止したが、どよめきはやまない。男性が玄関前で「無罪」の紙を掲げると、支援者ら約50人が抱き合い、うれし涙を流した。
判決後、被告の3人と弁護団は東京都八王子市内で記者会見。大洞俊之さん(47)は「主文が読まれるまではドキドキしていた。僕にとっては(公務員の)職を失うかどうかの闘いだった」と、ほっとした顔を見せた。
大西章寛さん(31)は「単なるビラ配りが公訴される異常さを実感していた。判決で『表現の自由』に触れてもらえたのがよかった」。高田幸美さん(31)も「支援してくれた人たちと頑張ってきてよかった」と声を詰まらせた。栗山れい子・弁護団長は「過激な行動をするわけではない、普通の市民団体だと認定してくれた」と話した。
自衛官に電話相談を呼びかける市民団体「自衛官人権ホットライン」の高橋幸子代表も「無罪判決は官舎に住む自衛官一人一人の知る権利をも保障した」と判決を歓迎した。
一方、判決を知った検察幹部は「集合ポストではなく、わざわざ玄関前まで入ってきてドアにある新聞受けにビラを入れているのに」とぶぜんとした表情。別の幹部も「一度追い返されたのにまた入ってきて配っている。ビラをまかれて不快な思いをした人がいるということは軽視できない」と不満を見せた。中には「起訴すべき事件だったのかという気がする」と指摘する検事もいた。
捜査にあたった警視庁立川署は「捜査は法令に基づいて適正に行われた。判決について警察としてお話しすることはない」とコメントした。
事件の現場となった防衛庁官舎(立川市栄町)の住民は無罪判決に「話すことはない」「よく分からない」と口が重い。一人の女性は「これは微妙な問題。ただ配布されたビラは『気味が悪い』という印象はあった」とだけ話した。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20041217k0000m040108000c.html