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2004年12月14日(火) 00時00分

振り込め詐欺 周りの気配りも必要 東京新聞

 おれおれ詐欺改め「振り込め詐欺」だ。これほど騒がれているのに、ますます増えている。捜査や法律面で対策を強化するとともに、被害者にならないための心がけや周囲の気配りも欠かせない。

 高額の現金を銀行口座などに振り込ませる。電話一本で顔が見えない。やっかいな犯罪だ。警察庁は「身近な知能犯罪緊急対策チーム」をつくり、振り込め詐欺の共同捜査を強化することにした。

 加害者の居住地と指定された口座の所在、引き下ろし場所が異なるケースが多い。振込金の引き出し場所は首都圏に集中している。グループが暗躍していることは間違いない。早急に全国の捜査情報を集約・分析し、摘発と防止にあたってほしい。

 警察庁の調査では、今年一月から十月までに、おれおれ詐欺は一万二千四百二十四件で被害総額は百五十億円超にのぼった。架空請求詐欺と融資保証詐欺を含めた振り込め詐欺全体で二百二十二億円と、ますます深刻になっている。

 振り込め詐欺に使われる「二大道具」のうち、口座の売買・譲渡禁止は先の国会で改正本人確認法として成立した。厳しい罰則が付いており、一定の抑制力が期待される。

 残るプリペイド式携帯電話の規制については先送りになったが、契約者の身元確認の義務付けや不正売買の禁止などの法的処置が検討されている。犯行の九割に使われており、早期の法制化が望ましい。

 初期の「おれおれ」から犯行はますます巧妙になっている。神奈川県では勤務医の息子を装った男から父親の医師宅に「医療ミスを起こしてしまった」と電話があり、病院長、弁護士を名乗る男が次々と電話に出て、見舞金や葬儀代名目に計二千五百万円をだまし取られた例もある。

 こうした「劇団型詐欺」をどうしたら防げるか。

 まずは不審な電話には相手の電話番号と名前を聞いて、いったん切った後、家族に確認するなど冷静な対応を心がけたい。しかし、被害者には高齢者が多い。本人の注意にも限度がある。周囲の気配り、気遣いが欠かせない。高齢者家庭を中心に注意を呼びかけたり、地域ぐるみで取り組んでいる所もある。警察や自治体による被害防止の広報も強化してほしい。

 銀行や郵便局の窓口担当者が慌てて振り込もうとした利用者に一声掛けて、被害を未然に防いだ例もある。金融機関の協力も欠かせない。

 振り込め詐欺は、人ごとではなくなっている。これ以上、のさばらせてはならないだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041214/col_____sha_____002.shtml