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2004年12月13日(月) 13時04分

中越地震で宅地被害、家「無事」は公的支援対象にならず朝日新聞

 新潟県中越地震の被災者に、宅地の被害への支援を求める声が高まっている。土地が崩落したり傾いたりして被害が大きく事実上住めない場合でも、住宅そのものへの被害が軽微だと、公的支援の対象にならないからだ。家屋被害が主だった95年の阪神大震災と異なり、今回の特徴である「地盤災害」に対する支援策の不備が浮き彫りになっている。

 長岡市郊外の高台にある「高町団地」は約500戸の閑静な住宅街。77年に造成が完了し、新しい一戸建てが目立つ。

 高町2丁目の会社役員土田信治さん(55)は20年ほど前、約3千万円で土地と家屋を購入した。「見晴らしが良く、除雪も便利」と考え、団地の外周道路の近くに建てた。

 地震で最も被害が出たのが、この外周道路沿いだった。のり面の土留め壁が崩れて道路が2メートルほど陥没、家の周りのコンクリートは、ずたずたに亀裂が入った。「危険宅地・土砂崩落のおそれあり」と記した赤紙が玄関にはられた。

 ローンの残りは約1千万円。宅地を直すだけで500万円以上かかるという。だが、家屋は耐震性の強い造りだったため、罹災(りさい)証明書は「一部損壊」。国と県からの最高400万円の被災者生活再建支援補助や、最高160万円の応急修理費補助などの対象とならず、義援金配分の5万円しか支給されない。

 「法律のすき間に落ちた気がする。ローンばかりが膨らむ」と、土田さんはうなだれる。長岡市には、被災住民から同様の相談が寄せられているという。

 新潟県は、被災した11市町村で宅地の危険度判定を実施したところ、計3329カ所の調査地点のうち、「危険」が519カ所、「要注意」が361カ所で、合わせて4分の1以上にのぼった。

 住民らは「家屋と宅地を一つの不動産とみて支援してほしい」と訴える。各市町村も国に対し、宅地や農地の崩落といった地盤災害について、財政支援を可能にする特別法制定を求めている。

 工学院大学(東京都新宿区)の久田嘉章教授(地震工学)は「信濃川など、河川流域の堆積(たいせき)層や造成地などは地盤が弱い。積雪の重みに耐える雪国特有の構造が家屋被害をやわらげたが、法律が地盤被害を考慮していないため、支援を受けられない被災者が多く出てしまう」と、法整備の必要性を指摘している。

(12/13 13:03)

http://www.asahi.com/national/update/1213/013.html