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2004年12月10日(金) 00時00分

「潜在肝炎」検査が急務朝日新聞・

フィブリノゲン 県内93病院

  新たな薬害の不安が、県内にも広がった。厚生労働省が9日、フィブリノゲン製剤が納入された病院リストを公表した。県内では93病院の名前が並ぶ。県薬務行政室は、80〜94年に県内で約4千人が投与され、3%程度が肝炎に感染したと推測する。だが、カルテはほとんど残っておらず、各病院は正確な状況をつかむ作業に追われている。

長崎肝臓友の会代表・岡崎さん
行政は積極啓発を


  「C型肝炎を発症しています」。89年11月、長与町の岡崎愛(まな)さん(46)は、初めて受けた人間ドックで医師に告げられた。肝硬変から肝臓がんに進行する恐れも説明され、「死を身近に感じながらも病気を認めたくなかった」と振り返る。

  02年10月、東京と大阪で血液製剤の投与を受けた人々が国などを提訴。新聞記事の「フィブリノゲン」という薬品名を見て、15年前の記憶がよみがえってきた。

  87年1月、岡崎さんは妊娠中に400CCの出血をした。看護師に「止血剤のフィブリノゲンを打ちます」と言われ、点滴を受けた。「感染源はこれかもしれない」。病院に問い合わせたが、「カルテが残っていないのでわからない」という返答だった。

  今年3月、県内で初めての肝炎患者の集まり「長崎肝臓友の会」(090・5734・2886)をつくった。会員は約40人。2〜3カ月に1回会って治療や薬害訴訟の情報交換をしている。来年1月22日に肝炎に詳しい内科医を招いた講演会も企画している。

  「製薬会社の利益や国のためにひどい目に遭った」。憤る一方で、「でも一番訴えたいのは、もっと行政が積極的に肝炎検査を勧めるべきだということ」と話す。

カルテ残らず困難
病院側 患者から連絡待ち


  フィブリノゲンを使用した可能性がある県内の病院は93カ所。だが、投与事例についてのカルテは大半が残っていない。保存していても「患者からの連絡待ち」というケースもある。

  長崎市立病院成人病センターは、法定の5年を超える15年間の入院患者のカルテを保存している。だが、製剤の使用はそれ以前で「問い合わせを受けても投与したかどうか確認する方法がない」と話す。

  製剤使用時のカルテが残っているのは、長崎大医学部・歯学部付属病院(長崎市)。しかし、該当者を見つけるには、治療経過のすべてを読み直す作業が必要だ。同病院は「患者からの連絡を待つしかない。問い合わせがあれば、カルテから製剤使用の有無を調べることは可能だ」。

  長崎記念病院(同)は、手術記録を手がかりに患者を探し始めた。同病院の製剤使用は手術時に限られており、使用の可能性がある19人を特定。死亡者を除くと該当者は数人に絞られたという。連絡先が判明した患者に肝炎検査を勧める方針だ。「国や製剤会社がやるべき仕事。だが、患者を把握している病院がやるしかない」

  肝炎の相談窓口を設けている県内8保健所は、1人だった担当者を2〜3人に増員する。11、12日は県の健康政策課(095・822・4676)と薬務行政室(095・826・8595)が相談に対応する。C型肝炎検査は県内9保健所と長崎市の2保健センターで1280円以内で受けられる。

(12/10)

http://mytown.asahi.com/nagasaki/news02.asp?kiji=4392