悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2004年12月10日(金) 00時00分

フィブリノゲン納入可能性の医療機関朝日新聞・

  C型肝炎に感染する恐れのあるフィブリノゲン製剤が納入された可能性のある医療機関のリストを9日、厚生労働省が公表し、県内では236医療機関があがった。安全な製剤に切り替わった94年ごろまで、止血剤などとして産婦人科や整形外科、心臓血管外科など多くの診療科で使われていた可能性がある。47機関は廃院などで追跡が難しく、存続していても、投与記録が残っていると厚労省に答えたのはわずか19機関だった。県などは相談窓口を開き、「心当たりのある人は検査を受けて欲しい」と呼びかけている

  千葉市立海浜病院には84年から88年にかけて、200本以上のフィブリノゲン製剤が納入され、心臓血管外科で手術の際に使っていた。のり状にした時の接着効果を利用して血管の縫合部などに塗ったという。廣瀬彰・診療局長によると、少なくとも150人に対して使い、うち5人が、後にC型肝炎を発症していたという。

  当時は輸血用血液もC型肝炎ウイルス検査はされておらず、感染源が輸血かフィブリノゲン製剤かは特定できない。廣瀬局長は「当時、有効な止血剤と認識していた。投与した人で連絡がつく人には通知し、検査を受けるようお願いする」と話す。

  県千葉リハビリテーションセンター(千葉市)によると、リウマチ末期の関節などの手術で8人に使ったとの記録に基づき、連絡が取れた6人のうち1人がC型肝炎に感染していた。県西部の700床規模の病院は、納入実績はあるが、使用実態はつかめない。「可能性があるのは外科か整形外科だが、当時の医師が全員転出していて確認できない」という。

  船橋市立医療センターは、問題の製剤が納入されていた期間の約21万人に上る入院患者の中から、投与患者1人を探し出した。83年の開所以来、すべてのカルテと手術台帳を保管していた。

  7千件近い手術台帳から、大量出血を伴う可能性のあった242人をピックアップ。医師や看護師、薬剤師ら5人のチームでカルテを1件ずつ調べ、整形外科の手術で、1人の患者に対し「のり状の製剤を出血部位に塗って止血に使ったことが確認された」(唐澤秀治・医療安全管理室長)。11月中に本人へ通知し、検査を勧めたという。

  なぜ、こんなに多様な医療現場で用いられたのか。

  産婦人科の藤巻クリニック(市川市)の藤巻日出夫院長(71)は「いわば起死回生の薬だった」と話す。医師になって間もない61年、東京都内の大学病院で帝王切開後の大量出血を経験した。輸血でも止まらず、命を救えなかった。日本での承認後、フィブリノゲン製剤を使って劇的に症状が回復するのを、何例も見てきたという。

  75年の診療所開設以降、2人に投与し、いずれもC型肝炎に感染していないことがわかった。「かつて血小板の輸血体制も未整備の時代には、大事な薬だった」という。

  「早いうちに治療すれば薬で抑えることもできるのに、今回のリスト公表は遅すぎました。それでも、思い当たる人は早く検査を受けてもらえれば」

  02年10月に東京地裁に提訴したC型肝炎訴訟の原告の一人で、県内に住む60代の女性はそう話した。約20年前に受けた婦人科系の手術で、フィブリノゲン製剤を止血のために投与された。今も、極端に疲れやすく、週2回の通院が欠かせない。慢性肝炎と診断されているが、肝硬変や肝がんに進行する不安が続き、医師の一言、検査の数値に気持ちが揺れ動く。

  約20年前の手術から間もなく、全身がだるくなり、食欲がなくなった。退院してもだるさは消えず、毎朝、家族を送り出した後はずっと横になった。2週間後、別の病院で急性肝炎と診断され、3カ月間入院。その後は通院を続け、ウイルスを抑えるインターフェロン治療もしたが効果はなかったという。

  病名は家族や親しい友人にしか伝えていない。実名は差別や偏見が怖くて明かせない。C型肝炎の友人は、歯科医師に「もう来ないで欲しい」と言われた。別の友人は、きょうだいに体の接触を避けられた。ウイルスに感染した血液が体内に入らなければ感染しないのにだ。

  「親からもらった体は丈夫でした。なぜ、国はこの薬をいつまでも放置していたのでしょうか」と、問う。

  フィブリノゲン製剤が納入された医療機関が公表されたことを受け、県は薬務課(電話043・223・2614)、健康増進課(電話043・223・2665)に相談窓口を設け、各地の健康福祉センターでも問い合わせに対応する。受け付けは平日の午前9時〜午後5時。

  健康福祉センターの連絡先、ウイルス検査やC型肝炎の説明などは、県のホームページ(http://www.pref.chiba.jp)に載せた。

  千葉市は市保健所に相談窓口(電話043・238・9926)を設置し、05年1月7、17日▽2月7日、21日に検査を行う。定員なし、予約不要。費用は1270円。

  船橋市も今月20日▽05年1月17、24日▽2月14、28日▽3月14、28日に行う。定員は各日40人で、事前に電話予約が必要。費用は1440円。
(12/10)

http://mytown.asahi.com/chiba/news02.asp?kiji=4741