2004年12月10日(金) 00時00分
フィブリノゲン製剤、県内256病院にも(朝日新聞・)
C型肝炎に感染する恐れのあるフィブリノゲン製剤が80年以降に納入された可能性のある病院が、県内でも計256病院にのぼることが9日、厚生労働省の発表で分かった。同省や県は肝炎ウイルスに汚染された疑いのある製剤が使われた94年までの間、これらの病院で手術や出産など大量の出血を伴う処置を受けた人に「感染の可能性が一般より高い」と検査を呼びかけている。
発表された県内の病院リストのうち、33病院はすでに廃院している。リストは80年以降のもので、同製剤が認可された64年から79年までは他の病院でも使用された可能性がある。
県などによると、製造元の「三菱ウェルファーマ」(旧ミドリ十字)の資料では全国で約28万4千人に使用されたことになっており、同社は肝炎の感染率を3・7%、肝炎の発生概数を全国1万件余と推測している。
しかし、「薬害肝炎訴訟」東京弁護団の福地直樹事務局長は「何千人分の血液を混ぜてつくる製剤で感染率はもっと高い。全国で十数万人以上、埼玉でも何千人単位でいるはずだ」と指摘する。
県は感染症対策室(電話048・830・3557)と各保健所で、同製剤に関する相談を受け付ける。C型肝炎ウイルス抗体検査は各保健所で月1、2回実施しているという。
自主的な取り組みを進める病院もあり、川口市の埼玉協同病院は3月から医師らのプロジェクトチームを設置した。保存しているカルテなどから投与した人に連絡し、検査を呼びかけた。
副作用・医療費・偏見・・・生活が一変 薬害肝炎訴訟の原告女性 薬害肝炎訴訟の原告の1人で県内に住む50代の女性は80年代後半、郷里の病院で三女を産んだ。出産後、子宮から出血があったため、医師からフィブリノゲン製剤を投与された。
2年ほど後、歯科医院での血液検査で内科の受診をすすめられ、そこで医師から「肝炎です。肝硬変、肝がんへと症状は重くなります」と宣告された。信じられなかった。
テニスやプールに通うなど活動的だった生活は一変し、病院に通う日々が続いている。ひどい倦怠(けんたい)感などの症状に加え、薬の副作用や高額の医療費負担にも苦しんでいる。「どうせ治らないなら」と、自殺を考えたこともあったという。
差別や偏見もある。勤めていた会社は、C型肝炎患者だと分かると「うつる病気だよね」と、汚いものを見るような雰囲気になった。病院でも必ずカルテに赤い字で印を付けられ、特別な扱いをされる。
「母子ともに元気でいたい。そのために病院に行ったのに……」。やりきれない思いは募るばかりだ。
今回、病院リストが公開されたことについては「私のように偶然に早く分かった人は治療することもできたが、もう亡くなられた方もいるはず」と厳しい表情で語った。
「きちんと調べて患者本人に連絡し、検査や医療も十分に保証するのが当たり前では」と語気を強めた。
(12/10)
http://mytown.asahi.com/saitama/news02.asp?kiji=6153
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