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2004年12月10日(金) 21時23分

フィブリノゲン問い合わせ続々 「カルテない」病院多く朝日新聞

 血液製剤「フィブリノゲン」を納入した可能性のある医療機関を厚生労働省が公表して一夜明けた10日、各地の病院や同省には不安を訴える人からの問い合わせが相次いだ。しかし、カルテなどが残っていなかったり、あっても調べるのに時間がかかったりするケースも多かった。

 桐生厚生総合病院(群馬県)は専用相談窓口を設け、患者からの問い合わせに答えた。昔のカルテはほとんど残っていないので、「何か自覚症状はありますか」と聞くしかない。

 公表された医療機関のうち、カルテなどが残っていると答えた医療機関は7%。法律で定められた保存期間は5年間でしかないため、大半の医療機関は「問い合わせされても答えようがない」と困惑している。

 日本医科大付属多摩永山病院(東京都)は、次々に電話がかかる状況だという。病院職員が、入院時期や輸血した記憶があるか、肝機能異常を指摘されたことがあるかなどをまず聞き、カルテを調べる。ただ、過去20年分のカルテを取り寄せるのに「1週間ほどかかる」という。

 一方、公表は製造元から提供されたリストにもとづいているため、「購入した覚えがない」とする医療機関も少なくない。石川県の個人病院長は「別の病院の間違いか、製薬会社の売り上げ水増しで伝票に勝手に名前を使われたに違いない」と憤慨する。

 公表を待たず、自主的に患者に知らせている病院もある。汐田総合病院(神奈川県)は今春、20年保存しているカルテを調べ、当時の医師にも話を聞いた。投与が確認できた患者3人に手紙で知らせた。幸いにもみな感染していなかった。

 林浩太事務次長は「事実確認に最大限の努力をしたい」と話している。

 厚労省でも朝から、20回線用意した電話は、全部ふさがりっぱなしの状態だった。「肝炎検査はどこで受けられるのか」「私の行った病院は対象か」などの問い合わせが、公表した9日午後から10日夜までに千件を超えた。

 薬害肝炎訴訟の弁護団による電話相談も、午前10時から始まった。東京都新宿区の法律事務所で、弁護士4人が対応。「フィブリノゲンを投与されたと思うが、病院でもカルテがないといわれた」などの不満が寄せられた。電話番号は、03・3358・2110。

(12/10 21:05)

http://www.asahi.com/national/update/1210/015.html