2004年12月09日(木) 17時02分
新幹線禁煙車、隣が喫煙車なら基準の3倍の「煙害」(読売新聞)
JRの新幹線や特急の禁煙車でも、隣接の喫煙車が満席なら、〈煙害〉を免れないことが東京大大学院医学系研究科の中田ゆりさんと産業医科大の大和浩・助教授らの調査で分かった。
東海道・山陽新幹線の禁煙車では、煙の粉じん濃度の平均値が、厚生労働省の「喫煙室内の空気環境に関する基準」を超え、最大で約3倍になる時もあった。乗降時など扉が長く開いている時や車掌らの出入りで禁煙車にも煙が流入するらしい。中田さんは「列車などの移動空間の禁煙化は、世界では常識。全面禁煙にすべきだ」と注文している。
東海道と山陽の両区間にまたがって走る新幹線はすべて16両編成で、3、4、10、15、16号車の計5両が喫煙車。中田さんらは10月上旬、東京—新神戸間で、喫煙の4号車と禁煙の5号車の粉じん濃度をレーザー粉じん計で測った。
4号車はほぼ満席で、車内の平均濃度は1立方メートル当たり0・79ミリ・グラムで、法定基準(0・15ミリ・グラム)の5倍以上。隣の5号車も0・18ミリ・グラムで基準を上回り、瞬間値では0・42ミリ・グラムと基準の3倍近くになることもあった。
北陸地方を走る特急では、両隣の喫煙車の乗車率が4割程度でも、間にはさまれた禁煙車の濃度は0・22ミリ・グラムに達していた。
昨年施行された「健康増進法」は、多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙を防止する努力を義務づけている。中田さんは「受動喫煙が原因の死者は年間3万9000—1万9000人と推計される。即座の全面禁煙が困難なら、喫煙車を端に集めるか、換気力の強い喫煙室を設けるなどの工夫が必要だ」としている。
JR東海は「喫煙者、禁煙者の要望に応え、分煙としている。今後も双方のニーズに応えたい」、JR西日本は「問題意識はあり、できることはないか勉強中」としている。
(読売新聞) - 12月9日17時2分更新
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