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2004年12月07日(火) 00時00分

NHK不祥事 『皆さまの』と言えるか 東京新聞

 NHKの元プロデューサーが番組制作費をだまし取った疑いで逮捕された。ほかにも経費に絡む不祥事が相次いでいる。抜本的な体質改善をしないと、受信料を払う「皆さま」にそっぽを向かれる。

 NHKの放送総局長は会見で「われわれは被害者」と再三述べた。逮捕を伝えるニュース番組でも「NHKに損害を与えた」と、被害者であることを強調した。あくまで個人の犯罪にとどめたい意向が見え隠れする。それでは国民は納得しない。

 警察の調べでは、元プロデューサーは知人のイベント会社社長と組んで、番組構成委嘱料の名目で計約二百七十万円を知人の口座に振り込ませて、だまし取っていた。さらに、看板番組「紅白歌合戦」などの制作に関連し、約四千八百万円を不正支出させていたことが判明している。

 しかも、三年前に不正経理が発覚していたのに、今年七月まで公表していなかったことは問題だ。七月以降、カラ出張、取材経費水増し、架空飲食費請求などの不祥事が、ぞろぞろ出てきている。

 いずれも組織のチェック機能不全が原因であり、ひいては体質そのものが緩んでいるようだ。受信料は、法律に基づいて国民に支払いを義務づけている「準公金」であることを忘れているのではないか。

 NHKは一連の不祥事に関する海老沢勝二会長の国会参考人招致を中継しなかった。海老沢会長は「編集権の問題」と突っぱねようとしたが、国民の目には二重の隠蔽(いんぺい)と映り、非難を浴びた。

 受信料の支払い拒否や留保の動きが全国に広がっている。既に十一万件を超えた。管理職が支払い拒否家庭を訪問し、おわび行脚しているのは、異常事態だ。NHKの土台が揺らぐ危機といえる。

 着服などした職員は懲戒免職になったが、会長以下役員は減給処分にとどまっている。NHKの労働組合は海老沢会長の引責辞任を強く要求している。不祥事が刑事事件に発展したことにより、経営陣としての責任をとるのは当然だ。

 NHKの目付け役で「最高決定機関」の経営委員会は何をしているのか。同じ公共放送の英国BBCでは、経営委員会の改革に取り組んでいる。理事会からの独立、透明性・公開制の拡大、国民への説明責任などが柱だ。NHKはぜひとも手本にすべきだろう。

 いまや地上波テレビ二波と衛星波三波をもち、三十余の関連会社・団体を抱える巨大メディアだ。その根本は「皆さまのNHK」であることを再認識すべきだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20041207/col_____sha_____003.shtml