2004年12月05日(日) 09時40分
NHK元プロデューサー制作費着服で逮捕(日刊スポーツ)
NHK紅白歌合戦のプロデューサーなども務めた磯野克巳容疑者(48=懲戒免職)が4日、詐欺容疑で逮捕された。イベント会社社長上原久幸容疑者(48)とともに番組制作費として270万円を架空請求し、自分に180万円をキックバックさせていた。磯野容疑者の不正総額は約4800万円とされ、ついに捜査のメスが入ったことで、受信料支払い拒否の加速も予想される。海老沢勝二会長(70)はこの日、急きょ謝罪放送に出演したが一層窮地に追い込まれた。
警視庁捜査2課の調べによると、磯野容疑者らは「BSジュニアのど自慢」などの番組を担当した01年5月、上原容疑者が放送作家として7番組の編成業務にかかわったように装う放送料計算書を作成。番組構成委託料として計約270万円を上原容疑者の会社の口座に払い込み、詐取したという。磯野容疑者は、上原容疑者から自分の口座などに約180万円をキックバックさせ、遊興費などに使っていた。2人は東洋大牛久高時代から先輩と後輩として親しかった。
NHKの調査では、磯野容疑者は97年から01年にかけ、上原容疑者の会社に、紅白歌合戦の制作費600万円を含む10番組で計約4800万円を不正に支出したことが判明。磯野容疑者へのキックバックの総額も約940万円に上るといい、捜査2課はこれらの全容解明を進めている。
磯野容疑者は弁護士を通じ「皆さまからいただいた受信料を不当に流出させたと悔いています」とのコメントを出した。「イベント会社には経営方針のアドバイス等をし、対価として金を受け取っていた。今振り返ると不相当なものだった」と弁明。使い道は「同僚や音楽業界の仲間と人間関係を築くための飲食費に費やした。予算に組み込むことができなかったため、良い番組をつくろうとする熱意のあまり、行きすぎた行為を犯した」とし「裁きを受け国民の皆さまに償いたいという思いでいっぱい」と締めくくっている。
80年入局。岐阜、名古屋、大阪の各放送局や芸能番組部などに勤務。芸能番組部では主に音楽番組を担当していた。表面化した一連の不祥事の中では最も悪質な事件で看板番組が舞台だけに、NHKは7月に懲戒免職処分にし刑事告訴したが、今後の磯野容疑者の供述次第では、これも氷山の一角にすぎないことが立証される可能性もある。
(日刊スポーツ) - 12月5日9時40分更新
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