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「AB型・二重人格」「B型・いい加減」「A型・きちょうめん」「O型・優柔不断」など以外に、「O型男性とA型女性は相性抜群。A型男性とB型女性は最悪」といった相性まで。血液型による性格判断は、コミュニケーションのヒントにされる場合が多い。
テレビ界でも、今春以降は血液型を扱う番組が急増。「決定!これが日本のベスト100」(テレビ朝日系)、「脳力探検!ホムクル!!」(TBS系)など、BPOの調査で10月だけで6回。いずれも高視聴率をあげる一方、抗議も50件以上寄せられたという。
実は、血液型性格判断は歴史が古く、昭和初期に心理学界で論議されたのが最初。もっとも、研究に携わるほぼ100%の心理学者が「科学的根拠はない」と性格との因果関係を否定する。
「それどころか、最近では『なぜ、根拠のない血液型性格判断を人は信じるのか?』という研究が進んでいるほどなんです」(科学ジャーナリスト)
日本ではほぼ10年間隔でブームが起きる。ただし、今回はちゃんとした根拠がある。信州大学人文学部の菊池聡助教授(心理学)はこう説明する。
「最近、医学生理学の立場から『血液型によって免疫力に差があるのではないか』という学説が出されたのがきっかけです。見えないものが形に示されたことは、それらを提唱する人たちの後押しとなりました」
菊池助教授は、人が血液型判断を信じる要因として、(1)マスコミを信じる(2)人間関係をよくするため、相性を判断したい社会的欲求がある(3)初対面でも話題にしやすい(4)当たっていると思える−の4つを挙げる。
中でも心理学者は(4)を最大の要因とみる。「人の性格は一通りではなく、いろいろな面が少しずつある。だから『思いあたるフシがある』との感覚が当たっていると信じさせるんです。ほかにも思い込みで予言が真実になる『自己成就予言』という現象で、最近10年でA型がより『きちょうめん』になったという研究報告もあります」と菊池助教授。
問題なのは、日本人の約10%というAB型など少数派に対する偏見の助長につながる危険だ。これまでも就職や人事、保育園の組分けなどで、血液型別による「決め付け」が行われてきた。番組に対する抗議もこうした差別を危惧(きぐ)する人による指摘が大半を占めた。
菊池助教授も「合コンで話題にするのは構わないが、それがすべてでないことを注意してほしい」と話している。
ZAKZAK 2004/12/04