2004年12月04日(土) 00時00分
「裁判員制度」身近に(朝日新聞・)
重大な刑事事件の審理に国民が参加する「裁判員制度」。司法制度改革の一環として09年5月までに始まるが、まだ広く浸透したとは言い難く、関係者の間には戸惑いや不安の声もある。制度の理解を深めようと、地裁、地検、弁護士らは一体となって取り組みを進めている。
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「包丁を出したら相手がけがをする状況になるとは考えませんでしたか」「今から思えばそうですけど、そのときは頭に血が上って……」
熊本市京町1丁目の県弁護士会館。4日に山鹿市の八千代座で開かれる「模擬裁判」の練習風景だ。裁判員制度をPRするため県弁護士会が主催し、裁判官や検事、司法修習生らも証人役などで参加した。
この日の練習には参加していなかったものの、「本番」には、裁判員役として、一般の社会人や高校生ら30人以上が参加する。菊池市の福村三男市長も参加するという。
実行委員長は松崎尚人弁護士。「模擬裁判を通じ、自分も裁判に参加できると実感してほしい」
制度導入の背景には、長い冒頭陳述や専門用語の並ぶ文書類など、わかりにくく長期化する裁判への反省がある。このため、先行して来年11月までに、初公判前に裁判官や検察官、弁護人で争点を整理する「公判前整理手続」が実施される。
スタートの時期は明確ではないが、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は、09年5月までに全国で始めるよう定めている。
対象は殺人、強盗致死傷、傷害致死などの重大事件。陪審員だけで有罪無罪の別を評決する陪審員制度とは異なり、6人の裁判員が裁判官3人と話し合い、有罪無罪の別や、量刑を多数決で決める。事実認定には、裁判官と裁判員の双方から最低1人の賛成が必要だ。
法務省によると、市町村選管は年に一回、くじで選挙人から裁判員候補者を選び、その中から裁判所が事件ごとに裁判員を決める。検察官や弁護人は、被告との関係の有無などを調べ、除外できる。国会議員や事件関係者らは対象外。学生や重病人は辞退できるが、正当な理由なく辞退することはできず、守秘義務もある。
熊本地裁の試算では、03年度に開かれた刑事裁判のうち、制度の対象になる事件は42件。県内の裁判員は約250人になる計算だ。
熊本地裁は裁判官による「出前講座」や講演を、熊本地検も検察官を学校に派遣して裁判員制度の説明をするなど、準備を進めている。
法務省は「被害者の立場に立つことができ、犯罪の抑止効果もある。司法の充実のために積極的に参加してほしい」と話す。
(12/4)
http://mytown.asahi.com/kumamoto/news02.asp?kiji=4018
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