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「紅白歌合戦」も担当したNHKの元チーフプロデューサーによる番組制作費の不正支出問題で、警視庁は4日、架空発注で番組制作費をだまし取ったとして、元放送総局番組制作局所属の磯野克巳容疑者(48)=東京都大田区仲六郷3丁目=ら2人を詐欺の疑いで逮捕した。NHKをめぐる一連の不祥事が表面化するきっかけとなった問題は、刑事事件に発展した。同庁は、磯野容疑者らがだまし取った額が計4000万円余にのぼる疑いもあるとみて、不正支出の全容解明を進める。
ほかに逮捕されたのは、磯野容疑者の大学時代の先輩で、東京都練馬区平和台3丁目、イベント会社「フリースパイス」社長の上原久幸容疑者(48)。2人とも大筋で容疑を認め、「金が欲しかった」などと供述しているという。
捜査2課などの調べでは、磯野容疑者は、NHKの放送作家として上原容疑者を登録し、番組制作費をだまし取ろうと計画。01年5月、上原容疑者に「BSジュニアのど自慢」6回分と「鶴瓶の家族に乾杯」1回分の番組構成を委託したように装い、NHKから上原容疑者の銀行口座に計約270万円を振り込ませた疑い。
うち約180万円について磯野容疑者は自分に戻させ、飲食費などに充てていたという。飲食相手について同容疑者は逮捕前、NHKの調査に対し「芸能プロダクション関係者」と説明していた。一方、上原容疑者は会社の運転資金に使っていたという。
NHKの内部調査によると、2人がからんだ不正支出は97年2月〜01年11月の約5年間に、15番組の計105回分、税込みで約4890万円にのぼる。上原容疑者の口座には4000万円余が入金されており、同課は2人が同様な手口で詐欺を繰り返していた疑いが強いとみて調べている。
磯野容疑者は80年にNHKに入局。98年に番組制作局芸能番組部のチーフプロデューサーに就任、紅白歌合戦などを担当した。04年6月に放送総局ラジオセンターに移ったが翌7月、NHKが不正を公表。懲戒免職となり、告訴されていた。
この問題をめぐっては、当時の上司が不正を把握しながら3年間放置していたことも判明。海老沢勝二会長を含む幹部6人が減給・停職などの処分を受けた。9月には海老沢会長が衆院総務委員会に参考人として招致され陳謝。その後も不祥事が相次いで発覚し、NHK受信料の支払い拒否・保留件数は11月末で11万件を超えていた。
磯野容疑者の逮捕を受けて海老沢会長は4日、NHKの放送の中で「きわめて遺憾。視聴者・国民の皆様におわび申し上げます」と頭を下げた。
(12/04 20:21)