2004年12月01日(水) 00時00分
牛肉の生産履歴表示義務が本格実施生産履歴の情報を売り場に掲示する店も出現=長崎市上小島2丁目で(朝日新聞・)
牛肉の販売で生産履歴の表示を義務づける牛肉トレーサビリティー法が、1日から本格的に実施される。偽装表示や牛海綿状脳症(BSE)問題で落ち込んだ国産牛肉の信頼回復が目的で、県内のスーパーや精肉店も着々と準備を進めてきた。だが、制度を知らない消費者が多く、今後、店側の親切な情報提供が求められている。
昨年12月に同法が施行され、国内のすべての牛、約450万頭に個体識別番号という「背番号」がついた。生育段階で牛ごとに生産地や移動履歴が一括管理されているが、12月からは流通にも法律を適用。販売者は識別番号を消費者に表示しなければならなくなった。
表示義務があるのは、精肉を扱うスーパーなどの小売店や牛肉をメニューの中心とする焼き肉、ステーキ店など。県内の主なスーパーではすでに番号を値札に印刷するなど、対応済みの店が多い。
量り売りする精肉店や焼き肉などの飲食店では、その日使う牛の番号を店頭に掲示する。違反すると30万円以下の罰金が課せられる。
九州農政局長崎農政事務所では「消費者はこれまで店の情報を信じるしかなかった。自分で調べられるようになったことの意味は大きい」と話す。県内では03年に大村市のスーパーで輸入牛を国産と偽る事件が発覚したが、番号が表示されれば、消費者自らも目を光らせることが可能になる。
ただ、表示の義務は10けたの数字だけで、「消費者に不親切」という指摘もある。長崎市中園町のスーパーでは昨年から表示を始めたが、「番号に関する問い合わせを受けたことがない」。
消費者は家畜改良センター(福島県)のホームページを開いて番号を入力すれば、生産地や加工場所などの情報がわかる。携帯電話からでも利用できるが、忙しい買い物時に利用する人はあまりいそうにない。
各店舗ごとに独自のサービスを探る動きも広がっている。県内で25店舗を展開するエレナ(佐世保市)では、検索結果を印刷して売り場に掲示している。「ほとんどの人は検索をしないはず。情報提供で牛肉への安心感を持ってもらいたい」。ジャスコ佐世保大塔店(同)でも、従来から食肉情報を提供しているパソコンで検索できる。
一方、流通全体の6割を占める輸入肉と、内臓や切り落としなど個体判別の難しい肉は表示対象外で、問題だと指摘される。各店ではこれを逆手に取って国産牛の安全性をアピールする動きもある。同事務所も「国産牛肉の需要拡大につながれば」と期待している。
(12/1)
http://mytown.asahi.com/nagasaki/news01.asp?kiji=4366
|