2004年12月01日(水) 23時00分
<捜査書類偽造>現職警官13人を書類送検 兵庫県警(毎日新聞)
兵庫県警自動車警ら隊の捜査書類偽造問題で、県警は1日、虚偽有印公文書作成・同行使、有印私文書偽造・同行使などの容疑で元隊員の現職警察官13人を書類送検し、監督責任を含め計163人を懲戒、訓戒処分などにした。ノルマ逃れや実績のかさ上げのための虚偽書類は、01〜04年に捜査書類18件、隊内報告書211件の計229件に上ることも判明。1年近くにわたった調査と捜査は刑事事件に発展、異例の大量処分者を出す事態となった。
調べでは、書類送検された13人のうち、12人(巡査長—警部補)は、01年11月〜03年10月、パトロール中に自転車盗を検挙した際、所有者が不明だったり、連絡が取れなかったにもかかわらず、架空の被害者名で被害届や「領置調書」を偽造、計18件の微罪処分手続きなどをした疑い。また、別の巡査部長(40)は、所有者不明で処理に困った自転車1台を同僚隊員に譲り渡した業務上横領の疑い。全員、容疑を認めているという。
関係者によると、3交代制による月平均10回の勤務(実働16時間)で、パトカー1台当たり8件の検挙が事実上のノルマとなっており、達成できないと翌月に積み増されたり、反省文を書かされることもあったという。
昨年12月、兵庫県警自動車警ら隊員が西宮市で検挙した自転車盗事件(占有離脱物横領容疑)の引き継ぎを受けた署員が、書類に記載された被害者に連絡が取れないことに気付き、不正が発覚。監察官室の調査で、同様の偽造が多数あることが判明した。今年4月、70人態勢で特別調査チームを編成。6月末、隊内報告を含め偽造書類が200件に及び、県警は9月、人事異動で同隊隊員の9割を刷新した。
県警監察官室は、13人のうち主導的立場だった巡査部長(44)を懲戒免職、残る12人を停職3カ月—減給の懲戒処分にした。さらに、事件を虚偽の被害者名で処理した結果、宙に浮いた自転車18台のうち11台を隊員が駅前などに放置し、今も所在不明になっていることも明らかにした。
また、虚偽の隊内報告書211件には、送検された11人を含む131人が関与。うち、警察署保管の捜査書類をコピーし、日付や内容を改ざんして自分の実績のように装ったケースについては悪質性が高いとして、11人(巡査長—警部補)を懲戒処分(減給)、109人を訓戒処分にした。
監督責任は、歴代3人の隊長(警視)と元隊長補佐(警部)を懲戒処分(減給)、当時の地域部長(警視正)ら14人を訓戒や注意処分にした。
相浦勇二・警務部長は会見で「大規模な不祥事で、県民に申し訳ない。検挙の数値目標にこだわるあまり、安易な実績水増しに走った」と、ノルマが事件の背景にあったことを認めた。
【村元展也、稲垣淳】
(毎日新聞) - 12月1日23時0分更新
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